予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

2019-01-01から1年間の記事一覧

厚生労働省(国)が推奨するものにはそれなりの意味がある

以前、がん検診について、現状どういったものが、国が指定するがん検診なのかについて、確認しました。 このことは、がん検診だけではなく、一般的な健康診断にも当てはまるのではないか、と考えています。 何を言いたいのかというと、国がある程度の税金を…

【がん・脳卒中・心筋梗塞】の時代は終わった

最近、医療保険の宣伝などで、【がん・脳卒中・心筋梗塞】という三大疾病という表現が少なくなったような気がするのは自分だけではないでしょう。 少し前までは、この三大疾病という表現をたくさん耳にしましたし、保険もそれを売りにしていました。 現在のk…

ひとつの降圧薬で十分血圧が下がる程、現実は甘くない

血圧が下がりすぎるのが怖いからか、降圧薬をひとつ処方して、目標血圧に達していないのに、それで様子をみましょうとしている医師が多すぎる気がします。 薬は出してるんだから、あとは自己努力不足。塩分守ってますか、運動して少しは減量したら、といった…

高血圧の運動療法

結局、高血圧も運動療法が有効と科学的根拠が証明されています。 継続的に運動療法を行うと、高血圧の方の場合、収縮期血圧(上の血圧)が8~10近く、拡張期血圧(下の血圧)が5程度低下させることができます。 運動療法が血管の質を変えたり、血管の壁から…

高齢者は高血圧なのが当たり前か

高齢者は高血圧なのは当たり前だから、そんなに下げなくてもいいんじゃないのと、ごく稀に聞かれることがあります。 これはたぶん多少バイアスがかかっていて、高齢者の方でも血圧が高くない方もいらっしゃいます。 病院にきている方は血圧が高い方が多いで…

【高血圧パンデミック】との戦い

毎週毎週、本当に毎週、新規の高血圧の方にお会いします。 特に症状はないんですが、数字にびっくりしてという方がほとんどです。 血圧は客観的に数値ででるので、非常に治療がやりやすい生活習慣病のひとつですが、症状がないため治療に対するモチベーショ…

【がん検診】の認識に誤解があるのでは?

前回はがん予防が重要だということで、主ながんについて、現状わかっていることや検診内容について簡単まとめました。 誤解がないように追記しますが、がん検診は、 胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がんの5つが国が推奨するがん検診となります。 …

がん予防・いまできそうなことから

前回は、免疫とがんが密接に関与していることを書きました。 そして、進行したがんには免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬といったあたらしい化学療法も登場しました。 今後、それらの薬剤は適応となる病気や、病期(がんの進行度)も比較的軽いものへ…

がんと免疫力の切れない関係

前回は、人間の免疫力とがんの攻防と、現在治療に使われていて、今後も活躍が期待できる薬剤についてご紹介しました。 今回がんと免疫の関係について、非常に考えさせられる例がありますので、ご紹介します。 重症な心臓病(重症心不全)の方への強力な治療…

免疫力とがんを考える

今日は少し話題を変えて、あらかじめがんの専門家ではない立場と断ったうえで、免疫とがんについて簡単にご紹介します。 がん細胞は自分の細胞ではない異物として、からだの中で自己増殖します。 がん細胞に勝手に増殖されてしまっては、人間のからだにとっ…

運動してはいけない条件(運動全般編)

今回は運動してはいけないからだの状態、とはどんなものがあるのか、です。 運動を控える必要がある状況も、知っておくことは安全面でとても大事なので、まとめます。 【運動禁止条件1】 安静時の血圧が、200 / 110 mmHg(収縮期血圧 / 拡張期血圧)を超える…

心臓リハビリテーション指導士と話してみましょう

今回はあまり知られていない、心臓リハビリテーション指導士についてご紹介します。 心臓リハビリテーション指導士は、日本心臓リハビリテーション学会という学会が認定した、心臓病の患者さんの運動療法をお手伝いする、知識と経験をもった医療スタッフのこ…

日本で、心臓リハビリテーションの普及率が低い理由

心臓リハビリ(運動療法)は、からだに良い効果ばかりなのに、なぜ普及率が高くないのか。心臓リハビリテーションの著名な先生が、興味深いことをおっしゃっていましたので、以下、内容をご紹介します。 (少し長くなりますが、心臓病、とくに狭心症や心筋梗…

【心臓病には安静が必須】という誤解を解く(2)

先日、心臓病の予防や治療後にこそ、運動が必要だというお話をさせていただきました。 内容を補足します。ちょっと専門的ですが、是非お付き合いください。 心臓病の運動療法(心臓リハビリテーションといいます)の効果は、 1、心筋梗塞の再発を予防する効…

【心臓病の今までとこれから】を考察してみます

心臓病には、さまざまなものがあり、大きくわけて 1、虚血性心疾患(急性心筋梗塞、狭心症) 2、不整脈(心房細動など) 3、弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症など) 4、心筋疾患(拡張型心筋症、肥大型心筋症など) 5、大動脈疾患(大動脈解離、大…

【心臓病には安静が必須】という誤解を解く

先日あるメディアで、心臓手術後の70歳の方が心臓手術後に出歩くことが少なくなったと話をされていました。 心臓が悪いから、心配で家から出る気が起きなくなったそうです。 現在の医療では、心臓病には運動療法が欠かせません。 運動を継続して心肺機能を高…

医者が、上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査を受けてみました

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を体験後の、リアルな声を残しておこうと思います。 備忘録的な内容になりますが、お付き合いください。 胃カメラは今回が初めてです。 検査をお願いしたのは、以前の職場でお世話になった、消化器内視鏡専門医のH先生です…

【動悸】は勘違いされています

日々の生活の中で、ちょっとしたタイミングに動悸がする方って、たくさんいらっしゃるんじゃないでしょうか。 動悸は、どきどきする、脈が速くなる、脈がとんでいる、などで表現されることが多いと思います。 動悸の原因は多くが不整脈ですが、動悸の時の心…

歯科クリニック受診(2)

今日は歯科クリニックの2回目の受診でした。 おおむね綺麗だが、細かい齲歯(むし歯)があると画像を見せられ、納得させられた上での治療。 説明が丁寧で、低姿勢。 患者さんを動かさないで、自分が何人もの患者さんの診察室へ。 一生懸命動く。 なんとなく…

睡眠時無呼吸症候群はsilent killer

睡眠時無呼吸症候群は、夜寝ている時に無意識に呼吸が停止する病気です。 熟睡できていないので、当然、日中に眠気がひどくなります。 寝てる間に鼻と口をふさがれているのと一緒なので、低酸素状態になり、苦しいので血圧も、心拍数も高く変動します。 典型…

働き盛りの死なない新常識

働き盛り死なない新常識、というテレビ番組をたまたまやっていて、流し見しました。 心臓病で死にかけた医師数名が登場し、それぞれの体験をまとめた内容でした。 高血圧や糖尿病などの生活習慣病を無視して働いた結果、急性心筋梗塞、脳梗塞などに医師自身…

断食ダイエット【Alternate Day Fasting (ADF)】

一日断食したら、翌日は好きなものを食べるという食事法が有効だ、という話です。 Alternate Day Fasting (ADF) と呼ばれる方法です。 健康でわずかに過体重の基準を超える60人を対象に、 参加者の半数を、2日間のうち最初の12時間は好きなものを食べ、その…

運動は70歳からでも遅くない

それまでの運動習慣がなくても、高齢になってからでも運動を始めることで、運動習慣のある熟練アスリートと同様に筋肉量が増やすことができる という論文を読みました。 1、何歳になっても、筋力の強化は可能。 2、ジムなどに通わなくても、日常生活の動作の…

骨粗鬆症予防・治療のメインも運動療法

骨粗鬆症は主に高齢女性に多く見られ、骨折の原因になります。 下肢の骨折を起こすと、歩行が著しく制限され、動けないことがさらに全身に悪影響を及ぼしてしまいます。 では、骨粗鬆症の進行を抑えるため、薬物療法を始めましょうという前にやるべき治療が…

良いクリニックの見分け方(2)

前回、クリニックを選ぶ基準について、ある先生がまとめたものをご紹介しました。 クリニックのドクターの年齢や、専門医資格の有無が大切だとまとめられていました。 では、これらを調べるにはどうすれば良いのでしょうか。 やはりクリニックのホームページ…

良いクリニックの見分け方

良いクリニックの見分け方、というのをまとめている先生がいましたので、簡単に要約してご紹介します。 その先生によると、 1、まず受診するなら、内科医であること。 現代医学では細分化されていて、昔みたいに適当な医療ではやっていけない。外科医が内科…

医学は思っているより厳密だった

今の仕事を始める前は、医学がここまで厳密、正確なものだとは思っていませんでした。 診察時に、雑誌に、危ない薬20種が載っていて、 「自分が内服している薬が入っていました。大丈夫でしょうか?」 「記事を読んで、勝手にやめたけど大丈夫でしょ?」 と…

がん検診・まとめ

がん検診を簡単にサマライズします。 最近の大きな変更点としては、胃がん検診が、40歳以上から50歳以上へと対象年齢が変更となり、今までのバリウム検査に加えて、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査) が追加されました。 自治体によってはまだ内視鏡検査に対…

2018年、がんの統計

2018年の、がんの統計という資料を確認してみました。 各がんによる男性の死亡数は、 肺がん 55100人、胃がん 30000人、大腸がん 28700人、肝がん 17600人、すい臓がん 17600人、前立腺がん 9400人、食道がん 9300人 と続きます。 女性の死亡数は、 大腸がん…

過剰な糖のリスク

1日にからだに必要なタンパク質は、だいたい体重くらいを摂ればいいようです。 50キロの人なら50グラムのタンパク質を摂るという意味です。 ただし、トレーニングしている場合は、1日100グラムくらいは必要です。 タンパク質は腎臓の負担になるので、慢性腎…