予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

妊娠と薬物療法を考える

妊娠中の女性の薬物療法ほど、気をつかう診療はないのではないでしょうか。 慣れているのは産婦人科医と、一部のごく少数の内科医くらいで、自分を含めほとんどの先生方は基本的にかなり気をつかっています。 というのも、診察に来院した女性が妊娠中なのか…

心臓突然死に対する考え方に敢えて警鐘を鳴らしたい

最近、また心臓突然死を思わせるような訃報を目にするようになりました。 冬は寒暖差が大きい環境に身を置かれますから、その温度差が刺激(ストレス)になって心臓突然死を期待しやすい季節ではあると思います。 ただ、冬だから、寒いから 心臓発作で亡くな…

心房細動を正常化できても、脳梗塞リスク高いまま

現代の重要疾患のひとつに心房細動という不整脈があります。 心房細動は有病率が高いわりに、症状が表に出ることが少なく、健康診断で心電図をとらないと気がつかない、とっても気がつきにくい厄介な病気です。 心房細動の最大の問題点は、脳梗塞を起こすこ…

3歳時のI.Qが低いと老化が早い?

先日ご紹介した【中年期の歩行速度が速い方が、老化は遅い】という内容に対する追加になります。 中年期の歩行速度と、脳の老化が関連していたということ。 また、 中年期(45歳時)の歩行距離が遅いと心肺機能、血圧、糖尿病の指標、歯の状況、顔の印象が全…

運動習慣を継続するための時間の使い方

仕事柄、自分の同年代よりもやや高齢の方々に運動指導(運動処方)をさせていただくことが多いのですが、 ご高齢の方に比べ、仕事をしている割合が多い若い世代は一般的に自分の時間があまりありません。 話を伺っていると、ほとんどの人が時間がないといい…

末梢動脈疾患はハイリスク

見逃されやすい病気として、末梢動脈疾患(PAD)について概説してみたいと思います。 PADは簡単に表現すると、脚の動脈が狭くなったり、つまったりしてしまう病気です。 症状は、下肢の冷感(足が冷たい)、しびれ、少し歩くと足が痛くなり休むと治る、です…

高血圧の授業を終えて

本日、動脈硬化・高血圧という、学生の立場としては非常に興味を持ちにくい内容について、講義をしてきました。 自分が学生の頃は、がんに対する分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などといった治療法はなく、悪性腫瘍の領域はまだまだ先の見えない世界…

中年期の歩行速度が老化予測の指標となる可能性

【中年期の歩行速度が老化予測の指標となる】という内容です。 興味深い研究結果でしたので、ご紹介します。 結論から書いてしまいますが、 歩行速度が遅い人は、歩行速度が速い人に比べて老化が加速しているという結果です。 45歳時の歩行速度を測定、また…

自宅筋トレにデッドリフトの要素をどのように導入するか

筋力トレーニング(レジスタンストレーニング)では、 ベンチプレス、デッドリフト、スクワットという三種類の筋力トレーニングが三大トレーニングとされています。 私の筋力トレーニング、有酸素運動はあくまで心臓病に対するリハビリテーションの知識・経…

糖尿病と歯周病の密接な関係性

歯科というものは奥が深いもので、知らないことがたくさんあります。 心臓の手術前に、主に手術後の心臓内部の感染予防のため、歯科でう歯(むし歯)のチェックをしていただいたり、または、入院中の場合は、歯科医の先生に病棟に出張していただいたりしたこ…

【心臓手術前に受けた説明を、大半の患者さんは理解していない】のは本当か

手術前の説明をほとんどの人が理解していない、という話です。 【心臓手術前に受けた説明を、大半の患者さんは理解していない】という内容の論文がありました。 心臓カテーテル治療を受けた326名の患者さんに対する調査結果です。 326名の内訳は緊急治療が15…

有酸素運動・レジスタンストレーニングそれぞれの特徴を再確認する

あらためて、exerciseの有効性をまとめてみたいと思います。 わたくしは、心臓病の運動療法を専門にしており、いままでに様々なケースでの心臓リハビリテーションを経験してきました。 狭心症・心筋梗塞後の運動療法はもとより、重症心不全、なかには心臓の…

運動メニューを改めて見直す

自分で決めた運動習慣を継続して、ちょうど一年になります。 仕事の都合などで、どうしてもできなかった日はありましたが、 それでも、週3回の運動でも効果があることを考えれば、十分やり抜いたと思っています。 私事ではありますが、 自分の世代はちょうど…

認知症は老化の最大の原因?

唐突ですが、高血圧は認知症の原因となります。 75歳以上の高血圧患者199名の臨床研究になります。 収縮期血圧(上の血圧)を130未満にしっかりと下げたグループと、145未満に甘めに下げたグループで、3年間の比較を行ったそうです。 結果、血圧を130未満に…

同じ方向を向いていないと、治療はうまくいかない仮説を考える

今回の内容には、まったく科学的な根拠はありません。 データも何も(たぶん)ありません。 データがあるのかどうか調べてもいないです。 あたりまえの内容なのですが、 手術であっても、薬物療法であっても、運動療法であっても、 治療を受ける側(患者さん…

週刊誌が薬を否定し続けるのはなぜ

先日、何気なく書店の本をざっと見ていくと、 危ない薬、薬は危険、危険な薬をのまされているといった特集が、複数の週刊誌で組まれていました。 週刊誌がこういう目的で記事を特集するのは、もちろん世の中にそういう記事を読みたいという需要があるからで…

【いい病院ランキング】は、なにが「いい」と判断されているのか

雑誌の【いい病院ランキング】はよく目にするものですよね。 いい病院ランキングはだいたいのものが、手術の症例数の多いところから1位、2位・・と並べて書いてあります。 症例数が多い病院には2種類あると個人的には考えています。 ひとつは正統派です。質…

【ISCHEMIA試験】を受けてこれから起こること

前回、循環器医としては非常に驚くべき内容の臨床研究である、ISCHEMIA試験について簡単に内容をご紹介しました。 2018年の日本の統計データでは、確かにカテーテル治療の件数は全体として減少していません。 カテーテル治療が必要な緊急カテーテル治療が約7…

狭心症のカテーテル治療は転換期を迎えている【ISCHEMIA試験】

今日は専門的な内容の話題になってしまいますが、 心臓疾患の多くを占めている狭心症という病気に対する認識が大きく変わろうとしている歴史の転換期を迎えていますので、ここに記しておきます。 動脈硬化が進展していくと、血管壁にはプラークなどの不要な…

クリニックも生き残りをかけているにしても、酷すぎる話

ちょうど一年前に、不整脈の治療をさせていただいた方から相談がありました。 不整脈の治療は、房室リエントリー性頻拍という名前の不整脈に対するカテーテルアブレーションという治療になります。 治療後には不整脈の再発はなく、それ以降は高血圧の治療の…

妊娠とインフルエンザ予防接種

妊娠中、妊娠をお考えの女性に、是非はやめにインフルエンザワクチン接種を考えていただきたくて、今回はこの内容にしました。 内容は簡潔にします。 妊娠初期のインフルエンザ感染は胎児に対するリスクがあり、また、妊娠中期、後期の感染はインフルエンザ…

C型肝炎治療薬【マヴィレット】

今回は、2018年度の国内で売れた薬剤についてみてみました。 第一位はマヴィレットというC型肝炎の薬です。 (2017年11月発売) このマヴィレットですが、グレカプレビルという薬剤とピブレンタスビルという薬剤の合剤になっており、 簡単にいうと、C型肝炎…

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)はいつ受けるべき?

大腸内視鏡検査は、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)よりも受ける機会は少なくなると思います。 実際に、自分が今後受ける場合どういった基準で考えていったらよいのか、消化器外科専門医の先生に聞いてみました。 一般的に日常診療で大腸カメラをお勧めす…

内視鏡検査(胃カメラ)はピロリ菌除菌後にこそ必要

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)についての話題です。 内視鏡でヘリコバクター・ピロリを除菌したあと、もう胃カメラの検査が不要だと思っている方がかなり多いことに、この一年で気がつきました。 胃の中に生息するピロリ菌の有無で、胃がんになる可能性…

近隣にコンビニがあると、動脈硬化は進展しやすい可能性

少し面白い研究がありましたので、ご紹介しようと思います。 自宅の近くにコンビニがあると生活は便利だが、動脈硬化の予防には良くない可能性があるという内容です。 約2700名の若年成人を対象に、自宅から3㎞以内の全ての食料品店・飲食店にコンビニやファ…

【未来予測】クリニックはこうなる

クリニックの未来予想をここに書き記し、将来また振り返ったときに、どの程度予測することができていたかを確かめたいと思います。 【内科・循環器内科】や【内科・消化器内科】といったように内科系で、自分の専門分野をうしろに追加して表示しているクリニ…

血圧手帳がなくなる日

自分の担当している外来は高血圧、コレステロール異常、不整脈、慢性心不全、虚血性心疾患の順に患者さんが多く、 特に、他の内科外来で血圧のコントロールがつかない方を担当させていただくケースが多いです。 一応循環器内科としていますが、外来ではその…

運動は高齢者にほど勧めたい

運動は高齢者ほど有効だと思います。 入院中の心臓病の高齢者の方には、ベッドサイドでの簡単な筋トレから開始することが多いです。 簡単な踵上げ、ゴムバンドやチューブをベッドの柵に結んで、手足で引っ張るようなトレーニングなどが代表的です。 ストレッ…

運動は暖かくなってから始めます問題を考える

運動療法は、さまざまなメリットがあり、副作用がないことが最大のウリです。 たくさんのメリットがあって、場合によっては内服薬を減らす効果もある運動をなかなか続けられないのは、どうも以下の理由があるようです。 理由1、季節に四季がある。 理由2、単…

毎日の運動療法をupdateしていく

今までに何度も、予防医療に対する運動の役割、重要性を書かせていただきました。 運動の良さは副作用がなく、薬などと同等もしくはそれ以上の効果が得られることにあります。 心肺機能が高まることはもちろん、認知症予防、うつ病の予防と治療、大腸がん予…