予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

免疫力とがんを考える

今日は少し話題を変えて、あらかじめがんの専門家ではない立場と断ったうえで、免疫とがんについて簡単にご紹介します。

 

がん細胞は自分の細胞ではない異物として、からだの中で自己増殖します。

がん細胞に勝手に増殖されてしまっては、人間のからだにとっては不都合なので、からだの中にある免疫という機能が、その増殖を抑えています。

 

免疫とは、からだの中に自分と異なる異物が出現した際に、それを排除するシステムです。

 

わかりやすいのは、例えば肺炎を例に挙げます。

 

肺に細菌が感染する病気で、からだの中に細菌が侵入します。

 

からだは細菌を排除するために、からだを防御する部隊(免疫)をそこに送り込み、免疫が細菌を攻撃することによって、肺炎は治癒します。

 

この免疫の働きが弱くなった場合、もしくは、がん細胞がこの免疫の活動を抑えてしまう指令を出すと、がん細胞自体が増殖可能となります。

 

ですから、がん細胞の増殖それ自体を防ぐには、今のところ、自分の免疫を高めることが自分でできる最善のことなのかなと思います。

 

自分の免疫を強くするには、まず重要なのは十分な睡眠ではないかと思っています。

 

また、運動習慣をつけておくこと、栄養状態も関係しているでしょう。適正な体重も、がんの種類によっては重要な要素にあげられています。

 

がん細胞が免疫を抑えてしまうメカニズムに対しては、最近出てきている免疫チェックポイント阻害薬という薬剤がこれから主役になるでしょう。

 

ニボルマブオプジーボ)が有名ですね。

 

それ以外には、分子標的薬といって、がん細胞の特長によって種類の異なる、がん細胞の転移や増殖を抑えるような薬剤も現在活躍中です。

 

これは今までの抗がん剤とは違い、がん細胞のみを標的にしたものなので、以前のような強い副作用といった負担は軽減されているようです。

 

特定の型にはまれば、使用できるといった薬剤になります。

 

がんに対する免疫療法は、まだまだ発展しそうな分野です。

 

自分のからだや、がん予防に関心をもつきっかけに、少しでもお役にたてれば嬉しいです。