予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

高血圧の運動療法

結局、高血圧も運動療法が有効と科学的根拠が証明されています。

 

継続的に運動療法を行うと、高血圧の方の場合、収縮期血圧(上の血圧)が8~10近く、拡張期血圧(下の血圧)が5程度低下させることができます。

 

運動療法が血管の質を変えたり、血管の壁から血管を拡張させる作用のある物質をつくるため、血圧が低下するとされています。

 

運動は、ウォーキングやぺダリング(自転車)、水中歩行、軽いジョギング、レクレーションなどの有酸素運動です。

 

筋力トレーニング(レジスタンストレーニング)ではないことに気を付けましょう。

 

一日30分が条件ですが、30分まとまった時間を取れなければ、10分間を一日のうち3回でもいいです。

 

ただし、運動を継続するには注意点がいくつか示されています。

 

まず、運動前にストレッチなどの準備をしっかりやることと、メディカルチェックを受けて、虚血性心疾患(狭心症)や心不全の傾向がないかを確認することとされています。

 

メディカルチェックとは、健康診断のようなものから、通常の診察まであると思いますが、高血圧のみで狭心症心筋梗塞などの虚血性心疾患のリスクになりますから、例えば、他に、糖尿病、コレステロール異常、喫煙、家族に狭心症心筋梗塞の方がいる、などに当てはまる方は、運動を勝手にしないで、メディカルチェックを受けるべきかと思います。

 

この注意点があるため、以前記載しましたが、高血圧の方がジムに行って高負荷の筋トレをやっていたりすることに疑問を持っています。

 

また、全員が同じメニューの運動負荷を行うような施設も疑問があります。

 

せっかく健康のためにジムに行ったのに、実は狭心症心筋梗塞の予備段階で、ジムの運動中、または自宅に帰ってから具合が悪くなった、倒れた、とか結構ありうると思います。

 

どのくらいの運動量がその人に適切かといった、いわゆる運動処方はデリケートなのです。

 

個人的な意見としては、運動処方は病気の知識がない医師以外できないし、してはいけないんじゃないかな、と考えています。

 

高血圧も糖尿病も、コレステロールもなにもない若い方(20から40代)までなら、運動処方は医師でなくてもいいのかな、と思う程度です。

 

細かいという指摘もあるかもしれませんが、自分なら専門家に運動処方を受けて、安全に運動したいですね。曖昧にしてやるのは良くないと思いますよ。