予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

2020-01-01から1年間の記事一覧

妊娠と薬物療法を考える

妊娠中の女性の薬物療法ほど、気をつかう診療はないのではないでしょうか。 慣れているのは産婦人科医と、一部のごく少数の内科医くらいで、自分を含めほとんどの先生方は基本的にかなり気をつかっています。 というのも、診察に来院した女性が妊娠中なのか…

心臓突然死に対する考え方に警鐘を

最近、また心臓突然死を思わせるような訃報を目にするようになりました。 冬は寒暖差が大きい環境に身を置かれますから、その温度差が刺激(ストレス)になって心臓突然死を期待しやすい季節ではあると思います。 ただ、冬だから、寒いから 心臓発作で亡くな…

心房細動を正常化できても、脳梗塞リスク高いまま

現代の重要疾患のひとつに心房細動という不整脈があります。 心房細動は有病率が高いわりに、症状が表に出ることが少なく、健康診断で心電図をとらないと気がつかない、とっても気がつきにくい厄介な病気です。 心房細動の最大の問題点は、脳梗塞を起こすこ…

3歳時のI.Qが低いと老化が早い?

先日ご紹介した【中年期の歩行速度が速い方が、老化は遅い】という内容に対する追加になります。 中年期の歩行速度と、脳の老化が関連していたということ。 また、 中年期(45歳時)の歩行距離が遅いと心肺機能、血圧、糖尿病の指標、歯の状況、顔の印象が全…

運動習慣を継続するための時間の使い方

仕事柄、自分の同年代よりもやや高齢の方々に運動指導(運動処方)をさせていただくことが多いのですが、 ご高齢の方に比べ、仕事をしている割合が多い若い世代は一般的に自分の時間があまりありません。 話を伺っていると、ほとんどの人が時間がないといい…

末梢動脈疾患はハイリスク

見逃されやすい病気として、末梢動脈疾患(PAD)について概説してみたいと思います。 PADは簡単に表現すると、脚の動脈が狭くなったり、つまったりしてしまう病気です。 症状は、下肢の冷感(足が冷たい)、しびれ、少し歩くと足が痛くなり休むと治る、です…

高血圧の授業を終えて

本日、動脈硬化・高血圧という、学生の立場としては非常に興味を持ちにくい内容について、講義をしてきました。 自分が学生の頃は、がんに対する分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などといった治療法はなく、悪性腫瘍の領域はまだまだ先の見えない世界…

中年期の歩行速度が老化予測の指標となる可能性

【中年期の歩行速度が老化予測の指標となる】という内容です。 興味深い研究結果でしたので、ご紹介します。 結論から書いてしまいますが、 歩行速度が遅い人は、歩行速度が速い人に比べて老化が加速しているという結果です。 45歳時の歩行速度を測定、また…

自宅筋トレにデッドリフトの要素をどのように導入するか

筋力トレーニング(レジスタンストレーニング)では、 ベンチプレス、デッドリフト、スクワットという三種類の筋力トレーニングが三大トレーニングとされています。 私の筋力トレーニング、有酸素運動はあくまで心臓病に対するリハビリテーションの知識・経…

糖尿病と歯周病の密接な関係性

歯科というものは奥が深いもので、知らないことがたくさんあります。 心臓の手術前に、主に手術後の心臓内部の感染予防のため、歯科でう歯(むし歯)のチェックをしていただいたり、または、入院中の場合は、歯科医の先生に病棟に出張していただいたりしたこ…

【心臓手術前に受けた説明を、大半の患者さんは理解していない】のは本当か

手術前の説明をほとんどの人が理解していない、という話です。 【心臓手術前に受けた説明を、大半の患者さんは理解していない】という内容の論文がありました。 心臓カテーテル治療を受けた326名の患者さんに対する調査結果です。 326名の内訳は緊急治療が15…

有酸素運動・レジスタンストレーニングそれぞれの特徴を再確認する

あらためて、exerciseの有効性をまとめてみたいと思います。 わたくしは、心臓病の運動療法を専門にしており、いままでに様々なケースでの心臓リハビリテーションを経験してきました。 狭心症・心筋梗塞後の運動療法はもとより、重症心不全、なかには心臓の…

運動メニューを改めて見直す

自分で決めた運動習慣を継続して、ちょうど一年になります。 仕事の都合などで、どうしてもできなかった日はありましたが、 それでも、週3回の運動でも効果があることを考えれば、十分やり抜いたと思っています。 私事ではありますが、 自分の世代はちょうど…