予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

心房細動を正常化できても、脳梗塞リスク高いまま

現代の重要疾患のひとつに心房細動という不整脈があります。

 

心房細動は有病率が高いわりに、症状が表に出ることが少なく、健康診断で心電図をとらないと気がつかない、とっても気がつきにくい厄介な病気です。

 

心房細動の最大の問題点は、脳梗塞を起こすこと、心不全となること、認知症の原因となることは今までも何度か説明させていただきました。

 

 

心房細動はカテーテル治療で根治可能な場合も多くなりましたが、

 

いま、少し問題なのが、

 

心房細動が治っても、もともと心房細動があったひとは脳梗塞のリスクが高いまま

 

という報告があることです。

 

カテーテルアブレーションという治療で心房細動が起こらなくなっても、その後の脳梗塞のリスクは高いままであるということは、

 

心房細動の治療後も、脳梗塞に対する備えを継続しなければならないということになります。

 

 心房細動は当然再発リスクもあるため、既に脳梗塞心不全の既往がある方、年齢が75歳以上など、条件を満たせば抗凝固療法は継続することが多いのですが、全員にそうすべきなのでしょうか。もともとこの辺りの判断は医師によって結構違います。

 

ただ、実臨床では心房細動治療後の方が脳梗塞で救急搬送され、結果心房細動が再発していたというケースも多いため、抗凝固療法中止は慎重になるべきと思っています。夜間搬送されても脳外科などに入院になるため、当直をされていない循環器の偉い先生方は 再発そんなにあるなんて知りませんでした、なんてことも実際あるものです。