予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

運動してはいけない条件(筋トレ編)

筋力を強化するためには、ウォーキングや自転車のぺダリングといった有酸素運動だけではうまくいきません。 繰り返しになりますが、有酸素運動は心肺機能強化、レジスタンストレーニング(筋トレ)が筋力強化です。 だいたいのことは有酸素運動の禁止事項と…

腎臓病の血圧はどうするか

先に結論を書いてしまいます。 慢性腎臓病の血圧コントロールは 蛋白尿がある場合:130 / 80 未満に下げる 蛋白尿がない場合:140 / 90 未満に下げる 軽度の腎機能低下、蛋白尿(アルブミン尿)があると、脳卒中・心筋梗塞を高い確率で発症することが明らか…

日常診療には矛盾が多い(理不尽さも)

先日も午前中だけで、高血圧で未治療の方が10名ほど来院されました。 高血圧のガイドラインについて詳しくご説明すると、治療を積極的にやっていきたいというかたが多いです。 (高血圧では死亡率が上がるのですから、あたりまえですかね) しかし、丁寧に説…

脳卒中・心臓病の血圧コントロール

高血圧の定義をおさらいをします。 血圧:140 / 90 以上 ⇒ 高血圧 血圧:130~139 / 85~89 ⇒ 高値血圧 血圧:120~129 / 80~84 ⇒ 正常高値血圧 血圧:119 / 79 以下 ⇒ 正常血圧 でした。 予防の観点からは 血圧が140 / 90 以上で脳卒中・心筋梗塞などの心…

日本の高血圧は4300万人

前回は高血圧の定義をまとめました。 今回は日本の現状をみてみたいと思います。 まず、40歳から74歳では、男性の60パーセント、女性の41パーセントが高血圧の基準を満たすようです。 これはかなりの数になりますよね。 さらに75歳を超えると、男女ともに70…

高血圧の数値基準をはっきりさせます

高血圧診療ガイドラインが改訂され、今回高血圧診療ガイドライン2019として発刊されました。 前回は2014年でしたので、5年ぶりの改訂になります。 高血圧などの授業をさせていただいている手前、前回のガイドライン2014はあたまに入っているつもりでしたが、…

透析治療に腹膜透析という選択肢

腎臓専門医ではない内科医にとって、腹膜透析は馴染みがなく、過去のものという認識を持っていましたが、専門家の意見を聞いて考え方が変わったという話です。 おそらく一般的にイメージされる透析は、腎臓の病気で腎臓の機能が低下し、からだのなかの老廃物…

職業運転手の方には睡眠時の無呼吸検査を

長距離バスの運転士(職業運転士)の方々には、睡眠時無呼吸症候群の検査の義務付けはされたのでしょうか。 長距離バスだけではなく、タクシーの運転手のみなさんもですし、航空機のパイロットや、もしかしたら医療従事者も、検査の義務づけが必要になるかも…

心房細動はハイリスク疾患です

健康診断の心電図で、心房細動と診断されてそのまま様子をみている方はどれくらいいらっしゃるのでしょうか。 心房細動は無症状でも、脳梗塞、心不全を高率に起こします。 また、認知症の原因になると言われています。 特に脳梗塞は一度発症してしまうとなか…

厚生労働省(国)が推奨するものにはそれなりの意味がある

以前、がん検診について、現状どういったものが、国が指定するがん検診なのかについて、確認しました。 このことは、がん検診だけではなく、一般的な健康診断にも当てはまるのではないか、と考えています。 何を言いたいのかというと、国がある程度の税金を…

【がん・脳卒中・心筋梗塞】の時代は終わった

最近、医療保険の宣伝などで、【がん・脳卒中・心筋梗塞】という三大疾病という表現が少なくなったような気がするのは自分だけではないでしょう。 少し前までは、この三大疾病という表現をたくさん耳にしましたし、保険もそれを売りにしていました。 現在のk…

ひとつの降圧薬で十分血圧が下がる程、現実は甘くない

血圧が下がりすぎるのが怖いからか、降圧薬をひとつ処方して、目標血圧に達していないのに、それで様子をみましょうとしている医師が多すぎる気がします。 薬は出してるんだから、あとは自己努力不足。塩分守ってますか、運動して少しは減量したら、といった…

高血圧の運動療法

結局、高血圧も運動療法が有効と科学的根拠が証明されています。 継続的に運動療法を行うと、高血圧の方の場合、収縮期血圧(上の血圧)が8~10近く、拡張期血圧(下の血圧)が5程度低下させることができます。 運動療法が血管の質を変えたり、血管の壁から…

高齢者は高血圧なのが当たり前か

高齢者は高血圧なのは当たり前だから、そんなに下げなくてもいいんじゃないのと、ごく稀に聞かれることがあります。 これはたぶん多少バイアスがかかっていて、高齢者の方でも血圧が高くない方もいらっしゃいます。 病院にきている方は血圧が高い方が多いで…

【高血圧パンデミック】との戦い

毎週毎週、本当に毎週、新規の高血圧の方にお会いします。 特に症状はないんですが、数字にびっくりしてという方がほとんどです。 血圧は客観的に数値ででるので、非常に治療がやりやすい生活習慣病のひとつですが、症状がないため治療に対するモチベーショ…

【がん検診】の認識に誤解があるのでは?

前回はがん予防が重要だということで、主ながんについて、現状わかっていることや検診内容について簡単まとめました。 誤解がないように追記しますが、がん検診は、 胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がんの5つが国が推奨するがん検診となります。 …

がん予防・いまできそうなことから

前回は、免疫とがんが密接に関与していることを書きました。 そして、進行したがんには免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬といったあたらしい化学療法も登場しました。 今後、それらの薬剤は適応となる病気や、病期(がんの進行度)も比較的軽いものへ…

がんと免疫力の切れない関係

前回は、人間の免疫力とがんの攻防と、現在治療に使われていて、今後も活躍が期待できる薬剤についてご紹介しました。 今回がんと免疫の関係について、非常に考えさせられる例がありますので、ご紹介します。 重症な心臓病(重症心不全)の方への強力な治療…

免疫力とがんを考える

今日は少し話題を変えて、あらかじめがんの専門家ではない立場と断ったうえで、免疫とがんについて簡単にご紹介します。 がん細胞は自分の細胞ではない異物として、からだの中で自己増殖します。 がん細胞に勝手に増殖されてしまっては、人間のからだにとっ…

運動してはいけない条件(運動全般編)

今回は運動してはいけないからだの状態、とはどんなものがあるのか、です。 運動を控える必要がある状況も、知っておくことは安全面でとても大事なので、まとめます。 【運動禁止条件1】 安静時の血圧が、200 / 110 mmHg(収縮期血圧 / 拡張期血圧)を超える…

心臓リハビリテーション指導士と話してみましょう

今回はあまり知られていない、心臓リハビリテーション指導士についてご紹介します。 心臓リハビリテーション指導士は、日本心臓リハビリテーション学会という学会が認定した、心臓病の患者さんの運動療法をお手伝いする、知識と経験をもった医療スタッフのこ…

日本で、心臓リハビリテーションの普及率が低い理由

心臓リハビリ(運動療法)は、からだに良い効果ばかりなのに、なぜ普及率が高くないのか。心臓リハビリテーションの著名な先生が、興味深いことをおっしゃっていましたので、以下、内容をご紹介します。 (少し長くなりますが、心臓病、とくに狭心症や心筋梗…

【心臓病には安静が必須】という誤解を解く(2)

先日、心臓病の予防や治療後にこそ、運動が必要だというお話をさせていただきました。 内容を補足します。ちょっと専門的ですが、是非お付き合いください。 心臓病の運動療法(心臓リハビリテーションといいます)の効果は、 1、心筋梗塞の再発を予防する効…

【心臓病の今までとこれから】を考察してみます

心臓病には、さまざまなものがあり、大きくわけて 1、虚血性心疾患(急性心筋梗塞、狭心症) 2、不整脈(心房細動など) 3、弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症など) 4、心筋疾患(拡張型心筋症、肥大型心筋症など) 5、大動脈疾患(大動脈解離、大…

【心臓病には安静が必須】という誤解を解く

先日あるメディアで、心臓手術後の70歳の方が心臓手術後に出歩くことが少なくなったと話をされていました。 心臓が悪いから、心配で家から出る気が起きなくなったそうです。 現在の医療では、心臓病には運動療法が欠かせません。 運動を継続して心肺機能を高…

医者が、上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査を受けてみました

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を体験後の、リアルな声を残しておこうと思います。 備忘録的な内容になりますが、お付き合いください。 胃カメラは今回が初めてです。 検査をお願いしたのは、以前の職場でお世話になった、消化器内視鏡専門医のH先生です…

【動悸】は勘違いされています

日々の生活の中で、ちょっとしたタイミングに動悸がする方って、たくさんいらっしゃるんじゃないでしょうか。 動悸は、どきどきする、脈が速くなる、脈がとんでいる、などで表現されることが多いと思います。 動悸の原因は多くが不整脈ですが、動悸の時の心…

歯科クリニック受診(2)

今日は歯科クリニックの2回目の受診でした。 おおむね綺麗だが、細かい齲歯(むし歯)があると画像を見せられ、納得させられた上での治療。 説明が丁寧で、低姿勢。 患者さんを動かさないで、自分が何人もの患者さんの診察室へ。 一生懸命動く。 なんとなく…