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内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

心臓リハビリテーション指導士と話してみましょう

今回はあまり知られていない、心臓リハビリテーション指導士についてご紹介します。

 

心臓リハビリテーション指導士は、日本心臓リハビリテーション学会という学会が認定した、心臓病の患者さんの運動療法をお手伝いする、知識と経験をもった医療スタッフのことです。

 

心臓リハビリ指導士は医師だけでなく、看護師、理学療法士など、さまざまな職種が混在しているのが特徴で、医師には聞きにくいことも、看護師、理学療法士には聞きやすいということも多いのではないでしょうか。

 

心臓リハビリテーション指導士は、心臓病の方に対する運動療法や食事療法について、ある程度のトレーニングと講習、ならびに試験を受けています。

 

特に、試験では【運動を処方する】ということに関して問われます。

 

運動処方の仕方には様々あるのですが、

 

一番正確なのは、CPX(心肺運動負荷試験)という呼気ガス分析装置という機械を使用したものです。

(普段心臓リハビリをされている方は、よくご存知かと思います)

 

CPXは簡単に表現すると、

 

段々ペダルが重くなる自転車をぺダリングしながら(こぎながら)、運動の負荷量がどの程度が適切なのかを、刻々と変化する呼吸の状態、心拍数などを分析することで、その人、その人に合わせた運動量を決める検査です。

 

心臓リハビリテーション指導士と、一般的なトレーナーの方との大きな違いはここにあると思います。

 

心臓病の運動指導ができる、ということは、心臓病ではない人の運動指導も十分可能です。

(安全性が全く異なるので、当然ですよね)

 

運動というのは、ただ単純にやればいいというものではありません。

 

個人個人で体格も、筋肉量も、血圧も、心拍数も異なります。 さらに、もっというと、心臓の働きも、腎臓の働きも、肺の機能も、みんなそれぞれ違います。

 

ですから、みんなが同じ量の運動をやるというのは、厳密には正しくないのです。

 

それらの要素を細かく確認しながら、時には運動中の様子から、運動量を上げたり、下げたりすることが心臓リハビリテーション指導士の仕事になります。

 

運動に興味のある方は、一度心臓リハビリテーション指導士と話をしてみてください。

 

心臓リハビリテーション指導士は心臓病の方だけではなく、病気を予防しなければならないこれから世代の一般の多くの方にこそ、接してもらいたい運動の専門家です。

 

医療分野で取り入れている運動療法は、一般の施設での運動療法より、正確で、かつ進んでいると思います。

 

これを心臓病でない多くの方の運動療法に活かさないのはもったいないです。

 

 

※心臓リハビリテーション指導士名簿

http://www.jacr.jp/web/jacrreha/system/list/kantou/