予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

【心臓病には安静が必須】という誤解を解く

先日あるメディアで、心臓手術後の70歳の方が心臓手術後に出歩くことが少なくなったと話をされていました。

 

心臓が悪いから、心配で家から出る気が起きなくなったそうです。

 

現在の医療では、心臓病には運動療法が欠かせません。

運動を継続して心肺機能を高めたり、筋力低下を予防することが、心臓病のその後にも良い影響を与えることが科学的に証明されています。

 

心臓病だから運動できない、のではなく、運動して治療する、再発を予防する時代になっています。

 

ただ、運動する環境が少ないのが現実で、その問題を今後クリアする必要があります。

 

正しい運動習慣が身についていれば、「心臓が悪いから、心配で家から出られない」ということはなくなるはずです。

 

もちろん、心筋梗塞狭心症など、心臓の急性期(苦しいとき)に運動する訳ではありません。安静にしなければいけない時期もあります。

 

しかし、今は治療を終えたら、早期に運動です。

 

多くの心臓病は、治療後も慢性化して存在し続けるため、しっかりとした治療を行った上で、運動療法を週2-3回継続する事がとても重要です。

 

ただし、心臓病の方がトレーニングジムなどで専門家の付き添いなしに、高負荷のトレーニングされるのは医学的にはやや不安が残ります。

 

この際の専門家とは、やはり心臓リハビリテーション指導士の資格を持つ医療スタッフになるのかなと思います。

 

また、今はなんともなくても、若い世代に高血圧やコレステロール異常、糖尿病の方がかなり増えています。

 

こういった高血圧、コレステロール異常、糖尿病、肥満などは、心臓病の前段階です。

 

生活のどこかを変えないと、何も変わりません。

 

これらすべてを予防、治療できるのは運動になります。