予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

透析治療に腹膜透析という選択肢

腎臓専門医ではない内科医にとって、腹膜透析は馴染みがなく、過去のものという認識を持っていましたが、専門家の意見を聞いて考え方が変わったという話です。

 

おそらく一般的にイメージされる透析は、腎臓の病気で腎臓の機能が低下し、からだのなかの老廃物や余分な水分をからだの外に捨てることができなくなった段階で行うもので、週3回透析クリニックに通院し、血管に管を入れて、血液を機械でろ過してからだに戻すというものです。

 

透析の原因になる病気は、糖尿病による腎不全(糖尿病性腎症といいます)が一番多く、次に多いのが腎炎という腎臓の病気です。

 

透析には上記しました血液をろ過する血液透析の他に、腹膜透析といって、おなかの中の腹腔という空間に液体を入れて、その液体の中にからだの中の老廃物を吸収させて、からだの外に出すものがあります。

 

現在日本では透析といったら、97%が前者の血液透析で、腹膜透析は3%にすぎません。

 

腹膜透析は、まず週3回透析をしにクリニックで4時間拘束されることがありません。自宅で、自分もしくは家族の介助で行うことが可能です。

 

これは、自分の時間をある程度有意義に過ごすという意味では、血液透析では不可能な腹膜透析のメリットです。

 

とはいえ、腹膜透析も行える年数はだいたい7年前後とされています。

 

しかし、慢性腎臓病が徐々に進行し、いよいよ腎臓の機能がだめになってきた段階で、いきなり血液透析に切り替えるよりも、腎臓の機能が多少悪くなって、尿量が低下してきた段階で腹膜透析を開始すると、血液透析になるまでの時間を伸ばすことも十分可能とのことです。

 

腹膜透析も感染などのリスクはありますが、それは血管に週3回管を入れて透析を行う血液透析も同様です。

 

腹膜透析は在宅でできるので、今後クリニックに週3回も通院できない方にとって、良い方法になる可能性があります。

 

非常に勉強になりました。

 

ただ、まずは透析にならないようにしなければなりません。それこそ予防医療です。

 

繰り返しになりますが、透析となる原因の第一位は糖尿病です。また、高血圧も原因になり得ますし、糖尿病では血圧管理が非常に大切です。

 

健康診断で糖尿病が疑われたら、疑いの段階ですぐ治療です。

 

運動療法、食事療法がまず大事です。

 

もし、運動と食事で手に負えないレベルでも、内服薬も非常に進歩してきています。気がついたら透析レベルになっていました、というのでは、何のために健康診断を受けているのかわかりません。

 

糖尿病はかならず糖尿病専門医か、内科の専門医のクリニックに通院してください。

 

薬物療法がこの数年でかなり変化しており、内科医でさえもついていくのに必死です。

 

糖尿病の方に関わらずですが、自分が何科の先生のクリニックに通院していて、何を飲んでいるのか、どんな運動指導や食事指導をされているのかは把握しておきましょう。