予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

職業運転手の方には睡眠時の無呼吸検査を

長距離バスの運転士(職業運転士)の方々には、睡眠時無呼吸症候群の検査の義務付けはされたのでしょうか。

 

長距離バスだけではなく、タクシーの運転手のみなさんもですし、航空機のパイロットや、もしかしたら医療従事者も、検査の義務づけが必要になるかもしれません。

 

もっと拡大解釈すると、自動車の運転免許更新時には、ある年齢以上で義務づけした方が社会的にはいいんでしょうね。

 

睡眠時無呼吸症候群とは、かんたんにご説明すると(以前にも少し書きました)、夜間寝ている間に呼吸が停止してしまうため、熟眠感が得られず昼間に強い眠気を感じて寝てしまう病気です。

 

家族からいびきや、寝ている間に呼吸が止まっていることを指摘されるのが来院のきっかけになることが多いと思います。

 

睡眠時無呼吸症候群は日本人の100人に1人と言われていますが、現在適切な治療を受けている方はそのうちのごく一部です。 数字にすると、日本には約200万人の睡眠時無呼吸症候群の方がいると推定されていて(これもまだ一部かもしれません)、治療を受けているのが40万人にいかないくらいです。

 

治療までなかなか進まないのは、本人が寝ている間のことで気がつかないことから、クリニックを受診するところまでまず到達しないことが考えられます。

 

この睡眠時無呼吸症候群ですが、昼間の眠気が症状の中核をなします。

 

寝ている間に口と鼻を一定時間塞がれるのと一緒なので、からだの中はかなりの低酸素状態になります。

 

ある程度以上の未治療で放置すると、生存率が下がるものの、適切な治療によって改善は十分可能なようです。

 

睡眠時無呼吸症候群の合併症もたくさんありますが、また、ご紹介しようと思います。ひとつには前回ご紹介した心房細動もあります。

 

少なくとも多くの人の命に関わる仕事につく人には、検査受けましょう。

 

と言ってもなかなか難しいので、もし、徹底するなら検査の義務化が必要でしょう。それで大事故が防げるのであれば。

 

問題は費用負担でしょうか。