予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

がん予防・いまできそうなことから

前回は、免疫とがんが密接に関与していることを書きました。

 

そして、進行したがんには免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬といったあたらしい化学療法も登場しました。

 

今後、それらの薬剤は適応となる病気や、病期(がんの進行度)も比較的軽いものへと広がっていく事が予想されます。

 

しかし、最も大切なのは、がんの予防や早期発見でしょう。

 

今までのブログの内容と繰り返しになる内容もありますが、重要なので、また少しまとめます(自分の記憶の整理も含めて)。

 

1、胃がん

ヘリコバクター・ピロリの感染があるのか、ないのか。

ピロリ感染があれば、除菌療法を行う。可能であれば、胃がん検診は内視鏡検査を選択する。

除菌できていても、一年に一回は内視鏡検査を受けること。

 

2、大腸がん

発症予防が確実とされているのは、運動習慣のみ(結腸がんを減少させる効果が証明済み)。

予防には、アルコールを避けること。食物繊維をとること。加工肉を避けること。

肥満の改善も有効。

大腸がん検診として、便潜血反応検査を受ける。

 

3、肺がん

いまのところ、予防に有効なのは禁煙。

がん検診を定期的に受けておく。

喫煙歴があれば胸部X線に加えて、喀痰細胞診検査。

 

4、食道がん

アルコール、喫煙を避けること。肥満もリスク要因。

 

5、肝がん

B型、C型肝炎ウイルス感染症が原因であることが多いため、可能であればウイルスを排除することが肝がん予防になる。

アルコール摂取は当然リスクになる。

まずは、肝炎ウイルスの有無を採血でチェックすることが重要。

 

6、子宮頸がん

ヒトパピローマウイルス感染が原因の99%であるため、子宮頸がんワクチン接種が予防になります。( ただし、一時期に副反応の問題がクローズアップされてしまい、日本では進んでいないのですが、非常に有効性が高いそうです)

しかも、成人になってから受けてもそれなりに効果があるとのことです。

(詳細は婦人科の先生に伺ってみてください)

 

あとは、子宮頸がん検診を定期的に受けること。

子宮頸がんワクチンと検診で、確実に成果があげられる。

喫煙もリスクになるようです。

 

7、乳がん

現状では、生活習慣の改善や適正体重の維持、以外にこれといった予防法は示されていない。

やはり、定期的な乳がん検診が現状での最善策か。

 

 

限られたものだけになってしまいましたが、簡単にまとめました。

 

あとは基本的に、がん全般に対して、禁煙、アルコールは適度に、体重も適度に

、運動は継続して行う、減塩する、野菜果物を摂取する、などが挙げられています。

これらを実践すれば、確実にリスクが低下するという論文も確認しました。

 

※体重に関しては、BMIという指標で23-25くらいが適切と考えられています。

BMI=体重(kg)/ 身長(m)  × 身長(m)】

 

詳しくは、各担当科の医師へ相談してみてください。おそらく、これ以上の詳しい情報や、現在の最先端の治療や予防などの知識を聞けるチャンスはそういうところにあります。

 

がんについては、前回話題にしたように免疫力というものがこれからのキーワードになりそうなので、その辺りも科学的な内容を中心に精査して、また報告したいと思います。