予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

運動メニューを改めて見直す

自分で決めた運動習慣を継続して、ちょうど一年になります。

 

仕事の都合などで、どうしてもできなかった日はありましたが、

 

それでも、週3回の運動でも効果があることを考えれば、十分やり抜いたと思っています。

 

 

私事ではありますが、

自分の世代はちょうど若い頃に、狭心症心筋梗塞カテーテル治療や、徐脈(脈が遅すぎて支障をきたす)に対するペースメーカ治療、不整脈に対するカテーテル治療が非常に伸びていた時代を過ごし、それらに明け暮れる毎日でした。

 

そうした日々を過ごすうちに、

 

特に、狭心症心筋梗塞の患者さんは治療をしても、少しするとまた治療が必要になることに気がつきました。

 

これは、根本的に何かを変えないと、狭心症心筋梗塞という病気は簡単には克服できない、ということを意味していました。

 

狭くなった血管を、カテーテルでいくら拡張させようが、ステントという金属の金網で補強しても、本当に治療したことにはなっていないということにようやく気がついたのが医師6年目。

 

ちょうど当時在籍していた病院が運動療法で有名な病院であり、

 

狭心症にはカテーテル治療ではなく運動療法で治療する、心筋梗塞も治療直後から運動療法が必須である、という指導を直に受け、

 

運動療法で患者さんが見違えるほど良くなり、再発のため戻ってくるということがなくなるということを、目の当たりにしました。

 

 

結局、狭心症心筋梗塞も、その始まりは高血圧や糖尿病、コレステロール異常がスタートになっているのです。

 

 

ですので、そこを改善しないと、いくら狭い血管を物理的に拡張させても、また他からどんどん病変は出てきます。

 

 

カテーテル治療の場面で、綺麗になりましたね、良かったこれで治りましたね、というのは短期的な視点で見れば正しいのかもしれませんが、長期的には嘘です。

 

このことをはっきり言っている医療関係者が少ないので、患者さんも治ったと勘違いしてしまいます。

 

本当の治療はカテーテルが終わった後からだというのに・・。

 

 

このように、狭心症心筋梗塞後、また重症心不全運動療法の効果を実際目の当たりにし、

 

これは自分にも使えるし、まだ重症化していない方々の予防に使うべきだと考えました。

 

 

そこで、わたくしが自分に一年前に課したメニューを示します。

これは患者さんにもお願いしたメニューになります。

 

まず有酸素運動ですが、これは一日30分のウォーキングを課しました。

 

レジスタンストレーニング(筋トレのこと)は

1、壁に手をついて、踵上げ30回(可能なら朝と夜)

2、ハーフスクワット20回(可能なら朝と夜)

 

これだけです。

 

ポイントは最小限の負担で、自宅でできることです。

継続できる範囲で行うことが結局は最終的に効いてくると思います。

 

メニューをこれに決めたのは、

重症心不全の初期の心臓リハビリに指導している内容を多少修正したものだったので、だれにでも継続可能と判断したためです。

 

 

一年間継続するうえで、上半身のレジスタンストレーニングも追加した時期はありましたが、

 

上記した1と2で下肢の安定性をしっかり獲得することと、下半身の筋力が増加すれば毎日のウォーキングがさらに効率が高くなるため、結局はこの1,2を愚直に継続する方針としました。

 

 

ただ、途中から負荷が物足りなくなってきまして、最終的には

 

踵上げは一日100~350回

ハーフスクワットは100~250回

途中からフルスクワットを追加して一日30回

 

時間的に余裕があれば軽めの腹筋

 

という基本形を守りながら、

 

途中から有酸素運動の負荷強度を上げたかったので、ウォーキングではなく、縄跳びに変更。

(やはり有酸素運動も多少負荷がかからないと、高い効果が得られないと思ったからです。ただし、有酸素運動の基本はウォーキングやぺダリング(自転車こぎ)ですので、一般的にはそちらをお勧めします)

 

 

縄跳びは30回から開始しましたが、段階的に回数を増加させて、今は一日150回を最低ラインに設定して継続中です。

 

 

とりあえずの一年間の記録ですが、

 

睡眠時間(平均):7時間8分

踵上げ:46120回

ハーフスクワット:35225回

フルスクワット:3425回

腹筋:16651回

 

 

今年は、今まで継続した下肢の筋力トレーニングを維持しながら、上半身の強化に移っていけるようにしたいと思います。

 

また、トレーニングの成果を科学的に評価できる記録についても考えたいと思います。

 

 

仕事の性質上、どうしてもジムに通うことが難しいのと、もともと心臓リハビリテーションに携わってきて、独自でメニューを組んでいたこともあって、あくまで自己流かつ自重トレーニングを中心とした運動療法を継続していきたいと考えています。

 

食事内容、タンパク質摂取の方法についても再考したいと思います。

 

 

自宅で行う運動は比較的簡単です。

ただ、簡単だからといって効果が低いという訳では決してありません。

 

ジムなどに通った方が「やった感」はでると思いますが、しっかりした指導がないのであれば、費用対効果はそれほど高いと思えません。

(移動時間を含めて)

 

運動には、一般的に考えられているよりも遥かに高い効果があります。

 

自分でできるメニューから是非やっていただければと思います。