予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

中年期の歩行速度が老化予測の指標となる可能性

【中年期の歩行速度が老化予測の指標となる】という内容です。

 

興味深い研究結果でしたので、ご紹介します。

 

結論から書いてしまいますが、

 

歩行速度が遅い人は、歩行速度が速い人に比べて老化が加速しているという結果です。

 

45歳時の歩行速度を測定、また同時に脳のMRIを撮像した結果、

 

歩行速度が速い人に比べて、遅い人では脳の容積が有意に減少していました。

 

また、

 

大脳皮質厚の減少

大脳皮質表面積の減少

大脳白質の高信号域の増加

 

といった、脳の老化を示唆する所見が認められました。

 

 

この研究がユニークだと感じたのはここからです。

 

19項目(血圧、心肺機能、歯の状態など)の経年変化を評価したところ、

 

歩行速度が遅い人では老化が加速しているという結果となり、

 

さらに、

 

顔年齢も評価しており、歩行速度が遅い人では顔写真が老けて見えたと結論づけられていました。

 

顔写真の部分は多少主観的な要素が入っている可能性がありますが、

 

それでも参加数が904名となっており、nは少ない訳ではありませんので、興味深い結果です。

 

この内容を知った上で自分の身の回りのひとの歩く速さを見てみると、世の中が少し変わって見えるかもしれません。

 

少なくとも自分は、外来などでたくさんの方にお会いする機会が多いので、興味深いです。