予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

若年に増加する高血圧を考える

 

30歳代、40歳代の方々に高血圧がとても増えている印象を、この数年感じています。

食事内容の変化と運動機会の減少が原因なのでしょうか。

若い年代の高血圧の方は、例えば140/110(収縮期血圧拡張期血圧)のような、拡張期血圧が高いパターンが多いような気がします。

 

毎年健康診断ではひっかかるものの、減塩しましょうと説明を受けるのみで適度にスルーされていて、放置にされている方が多いですよね。

 

若い方には安易に内服薬を飲んでいただくのも医療サイドとしては抵抗があり、可能なら減塩、運動療法などの自己努力で下げてほしいと説明することが多いのが現状ですが、今の日本のライフスタイルを個人で変えていくのはかなり難しいと思います。

教科書的には「減塩してください」となるのでしょうが、若い世代で減塩6グラム未満なんて、本当に毎日実現可能なのでしょうか。

外食したら一食分でオーバーするのではないでしょうか。

 

 

また、そもそも高血圧はなぜ治療しなければならないのかを、医療者側が丁寧に説明する必要があるんでしょう。

高血圧のコントロールが不十分な患者さんに対して隣の診察室からよく「そんな血圧では脳卒中になりますよ」的な発言が聞こえてきますが、もっと冷静に高血圧に対してその後どんな合併症が何倍の確率で起こるのか、を説明して納得してもらわないといけないんでしょうね。

 

高血圧は症状に乏しく、苦しい訳ではないため、それが治療継続が難しい理由のひとつになっています。

高血圧は様々な病気の前段階なので、特に上記した理由で、若年性高血圧はやっかいです。

 

※本文中の高血圧症は本態性高血圧に限っています。