予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

若年性突然死を見て改めて思う【できることはやっておく】ことの重要性

最近、脳卒中、心臓病の予防の話題ばかりになってしまい、自分でも若干飽きてきていたところでしたが、今朝、34歳の俳優の方が虚血性心疾患によって亡くなったという大変残念なニュースが飛び込んできました。

 

この年齢で虚血性心疾患(急性心筋梗塞、不安定狭心症の総称です)は確かにまれなことではあると思いますが、家族性に遺伝的なコレステロール異常を持っている方は、こういったことがいつでも、十分起こりうると考えていただいた方がいいと思います。

 

今回の場合に、家族性コレステロール血症との関与があったのかどうかは全くわかりませんが、それを先回りしてつかむには、やはり、健康診断をまず受けること。

 

(健康診断を受けていないのはそもそもアウト)

 

そして、健康診断でLDLコレステロールが高いなどの指摘があった際には、なんらかの精密検査や治療を受けた方がいいと思います。

 

今回のケースでは、このあたりの健康管理はどうだったのでしょうか。

 

健康診断を受けている方は、そもそも健康に対する意識が高いのでいいのですが、もっと問題なのは、健康診断すらずっと受けていない方です。

 

ノーガードで病気に向かっていくようなものです。

 

こういった状況を考えると、ますます知識化される社会では、健康への意識が高い層と低い層で、死亡率に大きな差が今後出てくるでしょう。

 

あと、気になったことですが、

 

今回の件について、さまざまな記事をみましたが、もともと不整脈をもっていたからこうなったのではないか、とか、心電図で右脚ブロックがあれば致死的な不整脈を起こすものだ(おそらくBrugada症候群のことをいっているのでしょう)とか、本当に中途半端な医学的知識がどんどん書かれていて、それはそれで驚いてしまいました。

 

もともと不整脈がなくても、急性心筋梗塞脳卒中は、前触れなく、突然くるものです。

 

だから命を落とします。(突然すぎて、からだが対応できないからです)

 

そして、誰にでも起こりうる。

 

今までの繰り返しになりますが、予防できる要素があらかじめ分かっているのであれば、先手をうちましょう。

 

自分は専門家なので、自分のからだと、担当のみなさんのからだについては、科学的にわかっているものに関しては、あらゆる予防措置をとっているつもりです。

 

もう、いいかげんに皆さんもちゃんと認識した方がいいと思います。

 

8年ほど前にも、有名なサッカー選手が30代で、急性心筋梗塞で亡くなっていますが、覚えていますか?

 

こういった仕事をしていると、こういうニュースは何とも言えない気持ちになります。