予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

尿路結石は泌尿器科だけの病気にあらず

記憶に残る経験を記します。 もう何年も前から尿路結石を言われていて、今回尿路結石の手術、3回目なんですよね。高齢になって痛みもないから断ろうかと思っています。 もともと内科には、高血圧で通院されていた方。こんな会話を診察中に耳にしました。 この訴えを聞いて、尿路結石は泌尿器科の先生にお任せしているから大丈夫だろうと思っていましたが、ちょうど定期採血の時期ということもあり、じゃあ普段調べないけど念のため、と思い血液中のカルシウムを調べることに。 結果、なんと、カルシウム値が14という異常値を示し、全てが納得できました。 ああ、副甲状腺機能異常だったんだと。 振り返ってみると、この方は夜間尿の回数が多いと以前からおっしゃっていました。 これも血液中のカルシウム濃度が高いことで説明がつきます。 (※高カルシウム血症は口渇、多飲、多尿、夜間尿) 結局、薬剤によるカルシウム濃度のコントロールが全くうまくいかず、副甲状腺の摘出手術を行い、カルシウムの値は正常化しました。 尿路結石は全てがそうではないですが、血液中のカルシウム濃度が高いとできやすくなり、その原因が内科疾患(副甲状腺疾患)だったという話です。 今後、尿路結石を繰り返す可能性はないかもしれませんし、今までに蓄積された結石があるので、可能性はゼロにはなりません。しかし、カルシウムは低下するので新たな結石地獄からは逃れられる訳です。 初歩的かつ、思い出深い経験をしましたので、備忘録的に記録をしておきます。 尿路結石は泌尿器科だけの病気にあらず。やはり内科にはかかるべき。 記憶に残る経験でした。