クリニックの未来予想をここに書き記し、将来また振り返ったときに、どの程度予測することができていたかを確かめたいと思います。
【内科・循環器内科】や【内科・消化器内科】といったように内科系で、自分の専門分野をうしろに追加して表示しているクリニックが増えています。
また、昔ながらの【内科・外科・皮膚科・循環器科・消化器科・・】とたくさんの標榜をいまだに表示しているところもあります。
また、【整形外科・内科】といったように整形外科医であるにもかかわらず、自分の専門分野以外の内科分野まで標榜し、集患を目的としているクリニックも未だに多くあります。
ひとつの分野の中でも細かく細分化されてきている医療の世界では、今後もそれが細分化・深化していく方向でいくでしょう。
ですので、一人の医師が何でもみますという開業は今後激減するはずです。
そして、クリニックは2分化すると予想しています。
さまざまな病気はまず診断することが重要で、そこから診断に応じた治療へ、といった流れはかわらないので、
まず、診断に重きを置く診断能力の高い医師が開設する診断系クリニックができていく可能性。
また、逆にいろいろな病気の診断に長けている医師というのは、特定の分野の治療までは経験したことがないことが大半なので、
診断クリニックで診断がついた段階で、治療技術のある(この場合の治療とは薬物療法を含みます)専門系クリニックに紹介する。
専門クリニックにはない、特殊な装置や器具がひつようなものに関しては、総合病院や大学病院に紹介となる、という流れを予想しています。
(逆に、そうでなければ大学病院へはかかれなくなる気がします)
総合病院や大学病院は治療に特化していき、外来機能を縮小させる。
そのため外来通院が必要な患者さんについては、その病気の種類によって、専門に特化したクリニック(もしくは診断クリニック)で引き続き内服治療を受ける。
専門クリニックも、いまのような循環器内科、呼吸器内科、消化器内科という形ではなく、もっと細分化する気がしています。
例えば、高血圧専門クリニック、肺がん専門クリニック、内視鏡専門クリニック、コレステロール専門クリニック、心不全専門クリニック、糖尿病クリニック、腎臓病クリニック、不整脈専門クリニック、運動療法専門クリニック、甲状腺疾患専門クリニックなどです。
(いまでもこの傾向は既にあります)
整形外科では、高齢化によって需要は多くなると思うので、ライバルとなる整形外科クリニックの数が増加すれば、膝関節専門とか、腰痛専門などのクリニックに分化していくと思われます。
もちろん今は医療法の標榜に関する制限があるはずなので、すぐにという話ではないですが。
問題点があるとすれば、
専門クリニックを受診することで、患者さんが他人の目を気にする、ということが今以上に強くなるでしょう。
そこに行くだけで、その人が何の病気なのかがある程度分かってしまうからです。
立地にも気を遣わなければならないクリニックが出てきてしまうかもしれません。
また、診断系と専門系をかねるところも出てくるので、混乱が起こることが当然予想されます。
また、この議論で最も大事になるのは、はじめの診断クリニックの存在です。
診断クリニックで判断を間違えると、全然違う方向にいってしまうからです。
かぜだからどこでもいいやと思っていたら、単なる風邪ではなく心不全だった、なんていうことは日常的にたくさんあります。
また、最近議論になっているかかりつけ医制度ですが、これも現実化すると考えています。
(今回の話題での、診断クリニック・専門クリニックがかかりつけ医の役割を果たす可能性があります)
個人の自由があるので選択・途中での変更はできるようになると思いますが、
国民健康保険(健康保険)で医療を受けたかったら、特定のかかりつけクリニックをひとつ自分で決めてください、というようになるのではと予想しています。
いつもは高血圧で通院していて、膝が痛くなったらどうするんだ、という場合は、
そのかかりつけクリニックを必ず通して、整形外科にご紹介するというかたちを国は考えているのではないでしょうか。
要は自己都合でいろいろなところをドクターショッピングするなら、そこまでは国民健康保険で面倒はみれないです、ということです。
昔は自分の都合で行きたいところにいけたのに、という議論が将来起こりそうです。
これも社会保険の財源が足りていないので出てきた議論です。
クリニックを選ぶ際には、繰り返しになりますが、以下の資料は是非参考にしてください。
未来のかかりつけ医は、もしかしたらこの名簿内の医師から選ぶこと、という制限がつくかもしれません。
税金を使って医療を受けるというのは、本当はこういうことなんだと思います。
※総合内科専門医名簿
https://www.naika.or.jp/nintei/seido/meibo/
今回の話題は科学的根拠はありません。
あくまで、日常診療で感じたことをもとにして予想しています。
また、本記事で100記事を達成することができました。
読んでいただいている皆様からの感想、ご意見などをいただきなんとか100達成できました。
ありがとうございました。