予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

心臓弁膜症を注意喚起するCMが最近やたらと多い理由

心臓弁膜症かも?というテレビCMが、この数年流されるようになったのをご存知でしょうか。

 

いままで誰も言い出さなかったことを急に言うようになったのか、その理由を一部の医師はおそらく気がついています。

 

いま、心臓病の世界では、世の流れとして、大きな問題は心不全パンデミックです。

 

にもかかわらず、なぜ心不全ではなく、心臓弁膜症がクローズアップされ、広告費をかけているのでしょうか。

 

ここには、確実にビジネスの匂いがします。

 

最近、海外からカテーテルで心臓弁膜症を治療できるものが次々と日本に導入されています。

経大腿(けいだいたい)アプローチ2

心臓弁膜症は超高齢者の病気であることがほとんどで、いままではオペで心臓を開けて、壊れた心臓の弁を修復するしかなく、その手術に耐えられない方は治療を受けることができませんでした。

 

しかし、このカテーテル治療でいままで治療が受けられなかった超高年齢層にまで治療の幅が広がっています。

 

この市場をしっかりと掴もうという意図が、CMから見え隠れしています。

 

心臓弁膜症は80歳、90歳の方も多く、ある意味では加齢による心臓の弁の老朽化によるものです。

 

そこに多額の医療費を使い、売上を海外のメーカーに取られている現実はなんとも言えない状況に自分には見えます。

もちろん、素晴らしい治療なのですが、、。

 

お金持ちの高齢者層にふんだんに医療費を使い、若い世代の将来の社会保障は減っていく。

 

日本はこのままでいいのでしょうか。

 

難しい問題です。

 

少なくとも、国が借金をしてまで海外メーカーにお金を献上し続ける現在の流れはどうかと思います。