脳梗塞の原因として対処することが可能な、心房細動についてのあたらしいTOPICです。
また、心房細動か・・と思われたかたもいらっしゃるかと思いますが、
心房細動は突然、誰にでも起こりうる病気で、かつ合併症の重症度が高いので、今後も何度もまとめていきたいと考えています。
心房細動は、脳梗塞・心不全・認知症の原因であることがはっきりしていますから、これを叩くことができれば、非常に価値があることは誰が考えてもわかるでしょう。
まず、心房細動という不整脈について確認します。
心臓は4つの部屋に分かれていて、上の部屋を心房、下の部屋を心室といいます。
心臓はどうやって規則正しく動いているかというと、心臓の中に発電所があり、そこで発電された電気が心臓の中にはりめぐらされた電線を通って心臓全体に伝わります。
そして、その電気が心臓の筋肉に刺激を与えることで、心臓の筋肉は収縮します。
発電所はだいたい同じペースで発電するようにできているので、一分間に50~100回程度の間で発電しています。
心房細動ではこの発電所以外の場所から不規則で速い発電が起こってしまうために、心臓の動きは不規則になり、不規則な動きから血栓ができやすくなります。
その血栓が脳に飛散し、脳梗塞発症というのがよくあるエピソードになっています。
心臓の動きが不規則になるのであれば、動悸を感じたり、苦しさを感じて自分で異常がわかるのではないか。
そう考えるのが普通ですが、この心房細動が怖いのは、無症状で起こっている場合が多いことです。
さらに診断を難しくするのが、心房細動は消えたり出たりを繰り返します。
医療機関で心電図検査を受けた際、健康診断の心電図を受けた際には正常と言われていたのに、、という例がたくさんあるのはこういった性質を持った不整脈だからです。
心房細動が起こっている時の心電図を一枚とれるかどうか、が非常に大事なのですが、これがなかなか難しいのです。
この診断が困難な状況を変えてくれそうな情報があります。
【人工知能が心房細動発作が起こっていないときの心電図から、心房細動の発症を予測することが可能になった】という非常に画期的な研究結果です。
これは今までの常識の上をいっているアイディアで、もしこれが実現可能であることが証明されれば、Apple Wacthの心電図機能以上のインパクトを残す可能性が高いと思います。
近い将来実用化されると、救われるひとは相当数いるはずです。
ただ、問題は心房細動を受ける専門家が少ないことです。
心房細動に対する治療方針をどう立てたらいいかわからないという声もいまだによく聞かれます。
地域によっても治療方針が違うことがあります。
よく心房細動が治らないとか治るとか議論になるのはその辺りの違いと、あとはカテーテルアブレーションという心房細動に対する治療の質が施設によって異なるため、治っている病院では治っているし、治っていない病院では治っていないということが未だにあります。
(技術の均質化で、昔よりは少なくなりましたが、見ているとまだ結構あります)
多くの人が治っている施設では、やはりカテーテル治療を積極的にお勧めすべきとなりますが、なかなか治っていない状況をみることが多い施設になると、やらなくてもいいんじゃない?という雰囲気になるのが実際のところかと思います。
しかし、今回の研究結果は凄いと思いました。
未来を予測して対策を立てていく医療に確実になっていく気がしますね。