予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

内視鏡検査(胃カメラ)はピロリ菌除菌後にこそ必要

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)についての話題です。

 

内視鏡ヘリコバクター・ピロリを除菌したあと、もう胃カメラの検査が不要だと思っている方がかなり多いことに、この一年で気がつきました。

 

胃の中に生息するピロリ菌の有無で、胃がんになる可能性が全然違うという話題は以前にブログに記載しました。

 

ピロリ菌が胃の中にいない人は99%胃がんにはならない、ということも消化器の領域では常識になっているそうです。

 

 

ただし、ピロリ菌が最初からいなかった場合と、除菌したあとでは胃がんの発症率が異なっています。

 

ピロリ菌を除菌後も発がんのリスクは高いので、一年に一回は胃カメラをすることが良いとされています。

 

 

典型例としては、

5年前に胃カメラを他の病院でやった際にピロリ菌がいたので除菌した。

除菌が成功したので、もう胃カメラはやる必要ないと思っていた。

 

といったかんじです。

 

本当にたくさんいらっしゃいますから、ご自分と自分の周りのご家族について、是非確認してください。

 

実際、ヘリコバクター・ピロリ除菌後にちゃんと内視鏡を受けている方は、その一年に一回の定期内視鏡検査で、早期胃がんが発見され、開腹せず内視鏡で治療ができたという例を自分の外来でも複数例経験しています。

 

ただ、今回のこの誤解は結構広く広まっているので、どうしたら多くのひとに周知できるか、ですよね。

 

学会レベルでいろいろ活動しても、ほとんど広まっていないことばかりですから、

今後は情報媒体をどうしていくかも大切なことです。