予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

気管支喘息の治療は難しい

気管支喘息とは、気道という肺までの空気の通り道が狭窄してしまい、呼吸がしにくくなる病気です。

 

気道が狭くなったものを広げる効果を持つ薬剤を使用すれば、呼吸困難は比較的すみやかに改善します。

 

ただし、狭い気道を物理的に薬剤で広げて楽にはなるのですが、そこには目に見えない炎症という、もうひとつの現象が起こっています。

 

広げることと同時に炎症も同時に抑えないと、次の喘息発作の基盤が残りつづけることになります。

 

 

気管支喘息の正体は、気道【狭窄】+気道の【炎症】というのはわかっていても、気道狭窄さえ消えてしまえば苦しくなくなる訳ですから、どうしてもそちらに目が行きがちです。

 

 

喘息で命を落とす人は、吸入ステロイドの登場で激減した、と言われています。

 

吸入ステロイドは喘息発作がない時にも継続するもので、気道の【炎症】に対する、主に重症化予防のための治療薬なのですが、普段は喘息発作ないし、苦しくないので途中でやめちゃいました、という人が現実的には少なくありません。

 

苦しくなければ薬はいらない。

 

これが人間の本来の姿なのだと思いますが、医療サイドとしては喘息死をなくすこと、喘息発作を予防することを理解していただいてこそプロですから、難しいところです。

 

気管支喘息の専門家の先生はどんな説明、説得をされているのでしょうか。