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内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

【予防接種】インフルエンザ・まとめ

インフルエンザ予防接種の季節になり、いろいろと知識を求められる場面が増えましたので、自分の知識の整理を含め、インフルエンザ予防接種についてまとめてみました。

 

まず、インフルエンザウイルス感染症ですが、

 

インフルエンザウイルスに感染して平均3日の潜伏期を経て、症状が発症します。

 

飛沫(ひまつ)感染といって、咳やくしゃみなどによって周囲にまき散らされる粒子を吸い込むことによって感染します。

 

手洗いやマスクが有効だと思います。

飛沫感染に対して、空気感染というのは普通のマスクでは予防できないものもあります。最近感染が話題になる機会が多い麻疹、結核、水痘が空気感染します) 

 

インフルエンザウイルス感染では、突然の発熱、筋肉痛、関節痛、頭痛、だるさが主体で、鼻水や咳などを伴うことがあります。

 

ワクチン接種を推奨されているのは、65歳以上の高齢者と、60歳以上で、慢性的な心臓病、肺の病気、腎臓病のある方には本人の希望により予防接種を行うとされています。

 

その他の年齢は任意接種です。医療従事者などは行うべきでしょう。

 

あとはインフルエンザ流行時期に妊娠予定の方、長期療養型施設入所者、生後6か月以内の乳児のケアをする人、在宅ケアに従事する人、HIV感染のある方、インフルエンザは通年性で熱帯地方への渡航者(熱帯地方では季節性がないようです)なども接種したほうがよいでしょう。

 

ワクチン接種は日本では通常、12月上旬までには接種することとされています。

 

ワクチンを打つことで、インフルエンザA型ウイルスに対する血液中の抗体を高めておき、インフルエンザに感染してもウイルスの増殖が抑制される効果や、インフルエンザウイルスによる脳症などの合併症の抑制が期待されます。

 

つまり、予防接種で、インフルエンザの感染や発症そのものを予防はできないけれど、重症化を防ぐことができるということは証明されているようです。

 

13歳未満では2回接種となっています。通常は1回接種です。

 

学校保健安全法で、発症したのち5日経過していて、かつ、解熱後2日経過するまでは出席停止と定められています。

 

これは成人の会社出勤の条件にも適応されるのかと考えていましたが、厳密には成人にはこの法律は適応されないようです。ただ、現状では周りの先生方をみていても、この学校保健安全法に準じた対応をされることが多いような気がします。

 

治療は有名なタミフル(オセルタミビル)がありますが、10代での異常行動がこれもまた有名で、10代への処方は原則しないことになっていましたが、昨年からその文言が外れました。

 

しかし、インフルエンザウイルスに感染することで、異常行動などが起こることは知られていますから、子供がインフルエンザウイルスに感染した際には、注意深く行動をチェックすべきとされています。

 

リレンザ、イナビルといった吸入薬が使用されることが多いと思いますが、吸入薬は気管支喘息や肺疾患がもともとある方、インフルエンザによる肺炎の合併がある方、吸入が困難な6歳未満には勧められないとされています。

 

一日一回内服すればよいという触れこみで登場したゾフルーザという薬剤ですが、12歳未満へは慎重投与するようにとの見解が日本感染症学会から示されました。

 

ゾフルーザは日本発の国産の薬なので、今回の慎重投与を跳ね返すような、良い科学的根拠が集積されていくことを今後期待したいと思います。

 

 

 

※以下、予防注射を行っている立場で、知識の確認のため記載します。

 

0.5mLを皮下に、1回又はおよそ1~4週間の間隔を
おいて 2 回注射する。

ただし、6 歳から 13 歳未満のものには0.3mL、1歳から6歳未満のものには0.2mL、
1 歳未満のものには 0.1mL ずつ 2 回注射する。


1.接種間隔
2 回接種を行う場合の接種間隔は、免疫効果を考慮すると 4 週間おくことが望ましい。

 

2.他のワクチン製剤との接種間隔
生ワクチンの接種を受けた者は、通常、27 日以上、また他の不活化ワクチンの接種を受けた者は、通常、6日以上間隔を置いて本剤を接種すること。ただし、医師が必要と認めた場合には、同時に接種することができる(なお、本剤を他のワクチンと混合して接種してはならない)。