繰り返す夜勤によって、一日の生活パターンを一定にさせることが難しい職業は少なくありません。
夜勤をする労働者の割合は20%程度といわれています。
夜勤による生活パターンの変化(日勤になったり、夜勤になったりする勤務交代を伴ったもの)が、さまざまな病気の発症と関連しているのは以前から指摘されています。
睡眠障害、心臓病、うつ病、肥満、糖尿病などはこれまでもご紹介してきたとおりですが、がんとの関連性も少し前から言われるようになりました。
これは、国際がん研究機関というところが、がんのリスクについてまとめた中で、【サーカディアンリズムを乱す勤務交代】を【おそらく発がん性がある】と判定したために明らかとなったと思われます。
サーカディアンリズムとは、体内時計のことを示していて、簡単にいうと体内には日中は動いて、夜間は睡眠をとるのが当たり前というリズムを作っている時計があるという意味です。
この体内時計のリズムを乱すことで、さまざまな病気につながっていて、その中にはがんも含まれるということです。
少し前の時代にはこのような勤務は多くはなかったはず(一部にはあったようです)なので、人間のからだはこの変化に進化で対応している途中なのでしょうけど、立派な現代病の一つと思われます。
サーカディアンリズムとの差異を指摘されると、あとから睡眠をとればいいのでは?という訳にもいかない問題です。
がんの中では、乳がん、前立腺がん、大腸がんが指摘されているようです。
乳がんについては、夜勤者は夜勤がない人の1.5倍のリスクになるとの報告があります。
これらの発がんの原因についてははっきりとした記載はないものの、やはり、睡眠中のからだの修復が不十分であったり、リズム変調によって免疫力が低下するためでしょうか。
夜勤はまた、人の集中力・判断力も当然ながら生理的に落ちます。
仕事中なんだから集中力・判断力が落ちてはいけない、という根性論レベルの問題ではありません。
人間のからだの性質として、当たり前に落ちるのです。
特に日勤から夜勤帯まで連続して働いている場合は、交代勤務で夜勤をしている場合よりもひどくなるでしょう。
このことによって低下したサービスを受ける側も当然出てくるわけですが、そこに文句は言えないと思います。