予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

週刊誌が薬を否定し続けるのはなぜ

先日、何気なく書店の本をざっと見ていくと、

 

危ない薬、薬は危険、危険な薬をのまされているといった特集が、複数の週刊誌で組まれていました。

 

週刊誌がこういう目的で記事を特集するのは、もちろん世の中にそういう記事を読みたいという需要があるからでしょうけど、その目的はなんなのでしょうか。

 

薬の副作用を大々的にPRするのは良いのですが、それを言い出したら全ての薬に副作用の可能性がある訳です。

 

副作用を上回る良さがあるから、内服薬として存在しているはずです。

 

副作用ばかりで効果が乏しい薬を国がどんどん認可して、しかも税金を使ってきたということを言っているのでしょうか。

 

高齢者に多剤を使用するのは悪である、という風潮もありますが、

 

例えば、急性心筋梗塞後には飲まなければならないと決まっている薬が複数あります。

 

そこに糖尿病などの併存疾患があると、どうしても多剤にならざるをえないというのが現状です。

 

これらを内服しないと、その後の生命予後(病気のあとにどれくらい再発なくいきられるかという指標のようなもの)が悪化することが科学的に示されてしまっているので、

 

逆に急性心筋梗塞後にそれらの薬を使用していないと、同業者間では、なんで処方されてないの?、なんか飲めない理由あるの?という話になってしまいます。

 

高齢者の薬を減らせ、というのは結構やってみると難しいのです。

 

週刊誌の内服薬叩きは、エビデンスのあるデータを敢えて否定することで、標準治療ではない代替医療への誘導をしていきたいのでしょうか。

 

もしかしたら、バックグラウンドにそういう圧力があるのかもしれません。

 

内服薬に対する信頼は、日常診療をしていくうえで非常に重要です。

 

いろいろな言い分はあるのでしょうが、患者さんの内服薬への信頼を、ひとつの記事で簡単に壊してしまうのはどうなのでしょうか。

 

薬を否定し続けるのは、やはり、週刊誌が売れるからなのでしょうか。

 

詳細を知っている方がいたら、教えて頂きたいです。