予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

クリニックも生き残りをかけているにしても、酷すぎる話

ちょうど一年前に、不整脈の治療をさせていただいた方から相談がありました。

 

不整脈の治療は、房室リエントリー性頻拍という名前の不整脈に対するカテーテルアブレーションという治療になります。

 

治療後には不整脈の再発はなく、それ以降は高血圧の治療のため外来を2ヶ月に一回受診されているのですが、

 

10年前の交通事故の後遺障害をみてもらっている(ご本人の話では年一回)クリニックの医師から急に採血を勧められ、採血の結果、鉄欠乏性貧血だからサプリメントを飲みましょうと言われたそうです。

 

ここまでは、よくある話なのですが、

 

ご本人が今回言いたかったのは、

 

「そのサプリメントが保険が使えず、ひと月に5000円もするもので高いし、そもそも先生の外来(私の外来のこと)では一度も鉄欠乏性貧血なんて言われていなかったじゃないですか」ということのようでした。

 

たしかに、そもそも鉄欠乏性貧血という診断が正しいのであれば、治療には保険が適応されるはずです。

 

しかも、いままでそのような採血結果は自分の外来ではなかったので、おかしいなと思い検査結果を見てみたところ、 そのクリニックでの採血結果は、鉄欠乏性貧血の診断基準を満たしていませんでした。

 

なるほど、これじゃ薬を保険では処方できない訳だ、と納得しました。

 

その方はそのひと月5000円もしたサプリメントを見せてくれましたが、見たところでは普通の鉄分のサプリメントでした。

 

これは簡単に言ってしまうと、クリニックの売り上げのためでしょう。

 

そもそも、鉄欠乏性貧血の診断可能なレベルにまで到っていないのであれば、鉄分補充はまず食事内容を見直すことが原則です。

(あと、女性の場合には婦人科疾患の有無もチェックする必要があります)

 

安価なサプリメントをご紹介するならまだしも、高価なサプリメントを買わせるのは、倫理的にどうかと思いました。

 

正直、サプリメント系はこういう話ばっかりで嫌になります。

 

患者さんからの情報をもとに調べてみたら、やはり内科の医師ではありませんでした。

 

何科だったかは伏せておきますが、 内科じゃない人がやってる内科はこういう事例が少なくありません。

 

例えるなら、少し違う気もしますが、循環器内科医が外傷をみるようなもの。です。

 

僕らにもみれないものは当然あります。

 

自分の専門以外の診れないものは、専門の先生へご紹介する。これが一番患者さんのためです。

 

専門以外に簡単に手を出している現在の風潮は変えなければならないと思いますが、クリニックや病院を選ぶ側の問題でもあります。

(誰も選ばなければ、そういうクリニックは潰れるはずだからです)