毎日の運動療法をupdateしていく
今までに何度も、予防医療に対する運動の役割、重要性を書かせていただきました。
運動の良さは副作用がなく、薬などと同等もしくはそれ以上の効果が得られることにあります。
心肺機能が高まることはもちろん、認知症予防、うつ病の予防と治療、大腸がん予防、糖尿病の治療など、挙げればキリがありません。
心不全の治療に運動療法が必須であることも、以前強調させていただきました。
運動すればなんとなくからだに良いだろうな、という印象はみなさんがお持ちかと思います。
直感的にそうだと思えると思いますが、運動療法の効果はデータに裏付けされたしっかりした根拠が、既に何度も何度も証明されています。
というわけで、なんとなくお勧めしている訳ではありません。
間違いなく良いことが証明されているからお勧めしています。
さて、本題になりますが、患者さんを含めた周りの方々に、運動しましょう、運動は良いですと言っても、実感がないとそれは相手にはなかなか伝わらないものです。
感動は伝えたがる、といいます。
同じことを言っていても、そこに自分の感動や感情が乗らないと、相手には全く伝わらないし、相手の行動変容にもつながりません。
そこで、昨年から時間を見つけて曖昧にやっていた運動を見直し、やることを決めて、しっかり記録をとることを継続しました。
具体的にどういう運動をしていったのか、参考になれば幸いです。
この程度でいいのかと思ってもらい、さらに運動療法が広がっていくことに貢献できればと思います。
まず、運動前にはバイタルサインをチェックします。
バイタルサインとは、血圧と心拍数、あとは(忘れなければ)体温と体重を記録します。
具体的なメニューですが、ウォーキングする時間を確実に毎日とることができなかったため、車を使わず、最寄り駅から20分から30分程度のウォーキングを強制しました。
なんでもかんでもやると続かないので、メニューを下半身に絞りました。
ハーフスクワットを1日30回、壁に手をついて踵上げを30回、関節可動域を広げるために、主に肩甲骨周囲と、股関節を中心にストレッチするという、心不全の患者さんに対して実際に行なっているメニューからスタートしました。
その後回数を徐々に50回、70回と上げていきました。
ちょうど1年たち、現在は1日ハーフスクワット200回、踵上げ200から300回、ストレッチ、フルスクワット30回を最低ラインにして、現在も毎日継続中です。
現在は、ウォーキングよりもやや強度の高い有酸素運動にしたいとの考えから、なわとびを導入しました。
(なわとびは小学校以来?で、一番きついです。)
カロリー制限をして体重や採血データには改善は見られたものの、カロリー制限をすると免疫力低下の実感があり、最近はカロリー制限はゆるくしました。
カロリーは程々にとり、運動でそれをフルに使い切る戦略に変更しています。
毎日筋トレは逆効果では?というご意見もあるかと思いますが、このような軽負荷の筋トレで、しっかりとタンパク質が摂れていれば、あとは個人のキャラクターの問題で継続しやすい方でよいと考えています。
マシンを使用した高負荷のトレーニングは、隔日が良いと思います。
運動の効果を深く学んでいくと、運動は最強のアンチエイジングになると本気で思います。
軽負荷の運動は高齢者ほど効果があるともいわれていますが、若い世代でも十分な効果が得られるでしょう。
若い世代の病気はだいたいが運動量の不足に起因していますので。
今回提示させていただいた運動メニューは、心不全の患者さん向けの過負荷にならない運動の範囲から開始して、徐々に負荷を上げていった自験例でした。
この程度でいいのかーと思っていただきたくて(特に初期の段階)、今回は自分の運動療法をご紹介させていただきました。