予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

脂肪肝はハイリスク?

健診採血で肝機能障害を指摘されて、相談を受けることがあります。

今多いのが、腹部エコーの検査、もしくはCTで、脂肪肝を指摘されることです。

(正確には、脂肪肝の確定診断には、他の肝臓の病気を否定することと、肝臓に針を刺して組織を観察します)

 

脂肪肝という名前からはどんな印象を受けるでしょうか?

学生の頃の常識では、脂肪肝は悪化しないから経過観察でOK、と教わったと記憶しています。

 

現在の脂肪肝の立ち位置をまとめます。

脂肪肝は二つの型があり、非アルコール性脂肪肝と、非アルコール性脂肪肝炎にわかれます。

進行性なのは後者の方で、頻度は少ないようですが、5年間で15パーセントが肝硬変に、また、肝がんの発生にも関与しています。

 

肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧を合併することが多いとされ、治療は運動療法と食事療法による体重減少です。

結局これも、原因は運動不足とカロリーオーバーが強く影響している印象です。

飢餓との戦いだった長い人類の歴史にはなかった新しい病気なんでしょうね。

 

しかし、肝硬変や肝がんへ変化する可能性があるなら、積極的に治療を勧めていかなければならないようです。

 

運動と食事が治療であれば、結局はご本人の意思次第ですが。