予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

尿路結石は泌尿器科だけの病気にあらず

記憶に残る経験を記します。 もう何年も前から尿路結石を言われていて、今回尿路結石の手術、3回目なんですよね。高齢になって痛みもないから断ろうかと思っています。 もともと内科には、高血圧で通院されていた方。こんな会話を診察中に耳にしました。 この訴えを聞いて、尿路結石は泌尿器科の先生にお任せしているから大丈夫だろうと思っていましたが、ちょうど定期採血の時期ということもあり、じゃあ普段調べないけど念のため、と思い血液中のカルシウムを調べることに。 結果、なんと、カルシウム値が14という異常値を示し、全てが納得できました。 ああ、副甲状腺機能異常だったんだと。 振り返ってみると、この方は夜間尿の回数が多いと以前からおっしゃっていました。 これも血液中のカルシウム濃度が高いことで説明がつきます。 (※高カルシウム血症は口渇、多飲、多尿、夜間尿) 結局、薬剤によるカルシウム濃度のコントロールが全くうまくいかず、副甲状腺の摘出手術を行い、カルシウムの値は正常化しました。 尿路結石は全てがそうではないですが、血液中のカルシウム濃度が高いとできやすくなり、その原因が内科疾患(副甲状腺疾患)だったという話です。 今後、尿路結石を繰り返す可能性はないかもしれませんし、今までに蓄積された結石があるので、可能性はゼロにはなりません。しかし、カルシウムは低下するので新たな結石地獄からは逃れられる訳です。 初歩的かつ、思い出深い経験をしましたので、備忘録的に記録をしておきます。 尿路結石は泌尿器科だけの病気にあらず。やはり内科にはかかるべき。 記憶に残る経験でした。

タンパク質は99%の人が足りていない(タンパク質はお金がかかる)

前回はカロリー計算についてまとめました。

 

おそらく、自分も含めて、いまの日本に住んでいる人のほとんどが、カロリーを過剰に摂取しています。

 

カロリー摂取量には、前回ご紹介した標準体重による計算値以外にも、年齢による補正が必要だと思います。

 

成長期にはどんなに大きなカロリーを摂取しても、全てが成長に使用されたので問題にはならないのですが、成長期が終わると、成長に使用されていたエネルギーが余ってしまうため、その余ったエネルギーは脂肪細胞としてからだに貯蔵されます。

 

人類の進化は飢えとの戦いだったので、本来は少しのエネルギーもからだの外には漏らしたくない。

 

そこで、食べ物がなくなったときに備えて、脂肪として蓄えます。

(脂肪はエネルギー効率が高いのです)

 

基本的に食べ物がなくなることがない社会になってしまっていることに加え、運動をする機会まで少なくなった人類は、一旦脂肪細胞に変化したカロリーを消費することが難しくなりました。

 

これが肥満の本態です。

 

そうなると、まず大量のカロリーが消費されなくなり糖尿病に。(糖尿病になると、いずれ眼の血管が切れたりして失明したり、腎臓が悪くなり透析になるリスクも格段に高くなります)

 

また、カロリーは脂肪に変換されるため、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の上昇が起こります。

 

悪玉コレステロールは動脈の壁に動脈硬化を起こし、心筋梗塞狭心症脳梗塞を起こす原因となることがはっきりわかっています。動脈硬化は高血圧の基盤でもあります。

 

すべて、繋がっているのです。

 

また、脂肪細胞は発がんとも関係している、といわれています。

 

この悪循環を断ち切らないと、永遠に病気のリスクにさらされることになります。

 

どうすれば、悪循環を断てるか。

 

カロリー制限して、タンパク質を増やせばいいのはそうなのですが、実践すると大きな問題にぶち当たります。

 

それは、お金が結構かかるということです。

 

タンパク質メインの食事は、例えばお米をメインにした食事よりもカロリーが格段に低いのですが、カロリーが低いということは、お米をメインにした食事よりも満腹感が得られにくいので、満腹感を得るには、タンパク質摂取量をそれなりに上げていかなければなりません。 

 

そうすると、タンパク質は値段がお米よりも高いので、金額が跳ね上がります。

 

(ステーキよりも、ライスの方が安くてカロリーは高いということです。ライスと同じカロリーをステーキでまかなおうとすると、ステーキ何枚になるでしょうか)

 

タンパク質は最低、体重(キログラム)× 1 グラム=一日のタンパク質摂取量(グラム)で計算しますが、ダイエットに運動を組み合わせていくことが多いと思いますので、もう少し摂取量は多くしないといけないと思います。

 

(一日摂取タンパク質量)= (体重)× 2 グラム 程度で計算すれば良いかと思います。

 

体重が50㎏の人では、一日100グラムということになります。

 

一日100グラムというのはなかなか摂れる量ではありません。

 

以下に、主な食事のタンパク質量を参考に挙げます。参考にしてみてください。

 

スパゲッティ:800キロカロリー(600~800):塩分4.3グラム:タンパク質13g

ピザ(小):600キロカロリー:塩分3グラム:タンパク質38g

グラタン:700キロカロリー:塩分4グラム:タンパク質28g

ハンバーガー:300キロカロリー:塩分1.5グラム:タンパク質20g

カレー:900キロカロリー:塩分3.5グラム:タンパク質21g

オムライス:850キロカロリー:塩分3.6グラム:タンパク質28g

ハンバーグ定食:1100キロカロリー:塩分8グラム:タンパク質47g

ステーキ定食:1000キロカロリー:塩分6グラム:タンパク質45g

ラーメン:500キロカロリー:塩分6グラム:タンパク質21g

チャーハン:700キロカロリー塩分2.6グラム:タンパク質18g

ギョーザ(10個):400キロカロリー:塩分1.5グラム:タンパク質17g

麻婆豆腐定食:650キロカロリー:塩分3.2グラム:タンパク質30g

中華丼:850キロカロリー:塩分3グラム:タンパク質21g

牛丼:900キロカロリー:塩分3.8グラム:タンパク質18g

かつ丼:900キロカロリー:塩分3.5グラム:タンパク質33g

天丼:800キロカロリー:塩分3グラム:タンパク質23g

刺身定食:500-600キロカロリー:塩分5グラム:タンパク質42g

生姜焼き定食:800キロカロリー:塩分1.6グラム:タンパク質29g

さんま塩焼き(単品):300キロカロリー:塩分1.8グラム:タンパク質13g

そば系:400キロカロリー:塩分2.7グラム:タンパク質16~22g

うどん系:500キロカロリー:塩分5.5グラム:タンパク質6~10g

やきそば:600キロカロリー:塩分3.5グラム:タンパク質15g

から揚げ弁当:700キロカロリー:塩分3.3グラム:タンパク質24g

幕の内弁当:800キロカロリー:塩分3.8グラム:データなし

カップラーメン:500キロカロリー(商品によるが、多いものだと800キロカロリーも):塩分5.5グラム:タンパク質10g

おにぎり(一個):200キロカロリー:塩分2グラム(平均):タンパク質3g

 

ダイエットの観点でコストパフォーマンスが高いのは、カロリーが低くて高タンパクの【刺身定食】と【麻婆豆腐定食】ですが、刺身定食は塩分が厳しいですね。しょうゆ抜きにすればいいんでしょうけど、しょうゆ抜きの刺身定食もなかなか厳しいものがあります。

 

こうやってみると、ダイエットに必要な【低カロリー・高たんぱく】を達成できるメニューというのは外食産業にはほぼ存在しないことがわかります。

 

50キロの人が、一日のカロリーが1000キロカロリー、タンパク質が100グラムを3食食べて達成させるには、意図的に選択して食べなければいけません。

 

(これに塩分6グラム未満なんて言われたら相当厳しいことがわかると思います)

 

出されたものをただ、盲目的に食べていては動物と一緒です。

 

食べたい欲求以外に、そこに思考があるかないか。です。

 

ハンバーグ定食のごはんを半分しか食べないようにすれば、カロリーを500キロカロリーに抑えて、タンパク質は40g程度はとれるかもしれません。

(ごはんにもタンパク質が入っていますので、差し引きました)

 

ある糖尿病専門医の先生は、出前でカレーを頼んで、ライス抜きで食べているそうです。これはすごい話ですが、お米は毒だと言っていました。

 

当時はやばい先生がいるなと思っていましたが、その意味がいまは(少し)わかるようになりました。

ダイエットは数字で解決できる(あとは強い意思)

ダイエットに関しては、なんとなくやってもうまくいかないことが多いと思います。

 

なので、まず、標準体重を計算してください。

 

(標準体重kg)= 身長(m)× 身長(m)× 22 です。

 

身長が150cmであれば、150㎝が1.5mに換算されるので

 

標準体重(kg)は1.5 × 1.5 × 22 なので、、

 

計算すると、50キロ。150センチの人は50キロが標準体重ということになります。

 

ちなみに、

 

身長150センチで体重50キロ

身長155センチなら体重53キロ

身長160センチなら体重56キロ

身長165センチなら体重60キロ

身長170センチなら体重64キロ

身長175センチなら体重67キロ          になります。

 

ダイエットを目的とする場合には、この標準体重に20(キロカロリー)をかけていくと一日の目標エネルギーが計算できます。

 

150センチの方であれば、50キロ × 20で、1日約1000キロカロリーにするというのが、基本的な考えになります。 

 

ここまで計算して、これを日常に落とし込むときに難しいのは、普段食べているものがどれくらいのカロリーなのかがわからないことです。

 

特に、普段摂取する機会の多い、主な食事のメニューがだいたいどれくらいなのか、ある程度知識がないと、カロリー計算はできないので、以下にまとめてみました。

 

スパゲッティの種類によって違うんじゃないの?というご意見が出るかと思いますが、細かく分類すると煩わしくなります。

 

大まかにあたまに入れておくことが大事ですから、そのように記載します。

 

スパゲッティ:800キロカロリー(600~800):塩分4.3グラム

ピザ(小):600キロカロリー:塩分3グラム

グラタン:700キロカロリー:塩分4グラム

ハンバーガー:300キロカロリー:塩分1.5グラム

カレー:900キロカロリー:塩分3.5グラム

オムライス:850キロカロリー:塩分3.6グラム

ハンバーグ定食1100キロカロリー:塩分8グラム

ステーキ定食:1000キロカロリー:塩分6グラム

ラーメン:500キロカロリー:塩分6グラム

チャーハン:700キロカロリー塩分2.6グラム

ギョーザ:400キロカロリー:塩分1.5グラム

麻婆豆腐定食:650キロカロリー:塩分3.2グラム

中華丼:850キロカロリー:塩分3グラム

牛丼:900キロカロリー:塩分3.8グラム

かつ丼:900キロカロリー:塩分3.5グラム

天丼:800キロカロリー:塩分3グラム

刺身定食:500キロカロリー

生姜焼き定食:800キロカロリー:塩分1.6グラム

さんま塩焼き(単品):300キロカロリー:塩分1.8グラム

そば系:400キロカロリー:塩分2.7グラム

うどん系:500キロカロリー:塩分5.5グラム

やきそば:600キロカロリー:塩分3.5グラム

から揚げ弁当:700キロカロリー:塩分3.3グラム

幕の内弁当:800キロカロリー:塩分3.8グラム

カップラーメン500キロカロリー(商品によるが、多いものだと800キロカロリーも):塩分5.5グラム

おにぎり(一個):200キロカロリー:塩分2グラム(平均)

 

もちろん、これらは標準的な量でのカロリーなので、

 

大盛りを食べている方はおそらくこの数値の1.5倍から2倍くらいのカロリー摂取になっていると思われます。

 

ちなみにとなりに塩分を記載したのは、一日6グラム未満という高血圧治療の目標値が結構ハードルが高いことを感じていただきたいからです。

 

カップラーメン1杯で、一日塩分量はだいたいアウトです。

ラーメン系はよく言われることですが、スープは飲んではいけないですね。

 

ちなみに、主食に関しては

 

ごはん(小盛り):170キロカロリー

ごはん(普通盛り):250キロカロリー

ごはん(大盛り):400キロカロリー

食パン(一枚):170キロカロリー

 

という感じになっています。

 

そもそも一食で700キロカロリーを超えているようでは、なかなかダイエットには厳しくなってきます。

 

塩分も、単独で体重を増加させる可能性があるので、塩分制限もダイエットには重要です。その辺りは盲点になっていると思います。

 

今回は摂取カロリーを中心にみましたが、カロリー以外にも摂取するタンパク質の量もダイエットには非常に重要です。

 

 

タンパク質摂取量に関しては、いろいろなところに記載がありますが、また次回以降で自分の知識の整理を兼ねて、簡単にまとめたいと思います。

【特定保健用食品(トクホ)】に血圧を下げる効果はあるのか

特定保健用食品(トクホ)に血圧を下げる効果があるのか、という内容です。

 

高血圧に対する効果を謳っているトクホには、ペプチド、杜仲葉配糖体、酢酸、γアミノ酪酸、フラボノイドなどといった成分が含まれていてます。

 

難しい内容は飛ばしますが、それぞれ血圧を下げる効果はあるようです。

 

ただ、その効果判定には十分な実証調査がされていないので、血圧を下げる薬とは同格には扱えないということです。

 

成分に含まれるペプチドはACE阻害薬という薬と同じ作用があるものもあります。であるとすると、妊婦には使用ができない成分が含まれている可能性が出てきます。

 

妊婦の方はやめた方がよさそうです。

 

メーカーのホームページをみたら、トクホは妊婦向けに開発されている訳ではないので、不安なら医師へ相談せよという回答を載せていました。このあたりからも結構てきとうな雰囲気がでています・・。

 

一方、トクホ以外にある機能性表示食品とは、トクホの許可取得が難しいもので、血圧を下げることを目的とした摂取は推奨しないとされています。

 

トクホの注意すべき点としては、

 

1、トクホは多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではなく、1日の摂取目安量を守ること

 

2、腎機能が低下している人は、トクホの摂取を避けること

 

以上のように記載されています。

 

トクホのお茶というと、からだに良いイメージのみ先行しますが、こうやって調べてみるとなかなかそう簡単なわけではないようです。

 

まとめると、

 

妊婦の方は飲んではダメ、腎臓が悪い方も摂取しない方が良い、血圧は下がる成分は入っているがしっかりしたデータがないので、薬よりももしかしたらリスクが高い可能性がある、といったところでしょうか。

 

降圧薬の方がデータ上安全であるとすると、世の中のイメージと真逆ですね。

【予防接種】インフルエンザ・まとめ

インフルエンザ予防接種の季節になり、いろいろと知識を求められる場面が増えましたので、自分の知識の整理を含め、インフルエンザ予防接種についてまとめてみました。

 

まず、インフルエンザウイルス感染症ですが、

 

インフルエンザウイルスに感染して平均3日の潜伏期を経て、症状が発症します。

 

飛沫(ひまつ)感染といって、咳やくしゃみなどによって周囲にまき散らされる粒子を吸い込むことによって感染します。

 

手洗いやマスクが有効だと思います。

飛沫感染に対して、空気感染というのは普通のマスクでは予防できないものもあります。最近感染が話題になる機会が多い麻疹、結核、水痘が空気感染します) 

 

インフルエンザウイルス感染では、突然の発熱、筋肉痛、関節痛、頭痛、だるさが主体で、鼻水や咳などを伴うことがあります。

 

ワクチン接種を推奨されているのは、65歳以上の高齢者と、60歳以上で、慢性的な心臓病、肺の病気、腎臓病のある方には本人の希望により予防接種を行うとされています。

 

その他の年齢は任意接種です。医療従事者などは行うべきでしょう。

 

あとはインフルエンザ流行時期に妊娠予定の方、長期療養型施設入所者、生後6か月以内の乳児のケアをする人、在宅ケアに従事する人、HIV感染のある方、インフルエンザは通年性で熱帯地方への渡航者(熱帯地方では季節性がないようです)なども接種したほうがよいでしょう。

 

ワクチン接種は日本では通常、12月上旬までには接種することとされています。

 

ワクチンを打つことで、インフルエンザA型ウイルスに対する血液中の抗体を高めておき、インフルエンザに感染してもウイルスの増殖が抑制される効果や、インフルエンザウイルスによる脳症などの合併症の抑制が期待されます。

 

つまり、予防接種で、インフルエンザの感染や発症そのものを予防はできないけれど、重症化を防ぐことができるということは証明されているようです。

 

13歳未満では2回接種となっています。通常は1回接種です。

 

学校保健安全法で、発症したのち5日経過していて、かつ、解熱後2日経過するまでは出席停止と定められています。

 

これは成人の会社出勤の条件にも適応されるのかと考えていましたが、厳密には成人にはこの法律は適応されないようです。ただ、現状では周りの先生方をみていても、この学校保健安全法に準じた対応をされることが多いような気がします。

 

治療は有名なタミフル(オセルタミビル)がありますが、10代での異常行動がこれもまた有名で、10代への処方は原則しないことになっていましたが、昨年からその文言が外れました。

 

しかし、インフルエンザウイルスに感染することで、異常行動などが起こることは知られていますから、子供がインフルエンザウイルスに感染した際には、注意深く行動をチェックすべきとされています。

 

リレンザ、イナビルといった吸入薬が使用されることが多いと思いますが、吸入薬は気管支喘息や肺疾患がもともとある方、インフルエンザによる肺炎の合併がある方、吸入が困難な6歳未満には勧められないとされています。

 

一日一回内服すればよいという触れこみで登場したゾフルーザという薬剤ですが、12歳未満へは慎重投与するようにとの見解が日本感染症学会から示されました。

 

ゾフルーザは日本発の国産の薬なので、今回の慎重投与を跳ね返すような、良い科学的根拠が集積されていくことを今後期待したいと思います。

 

 

 

※以下、予防注射を行っている立場で、知識の確認のため記載します。

 

0.5mLを皮下に、1回又はおよそ1~4週間の間隔を
おいて 2 回注射する。

ただし、6 歳から 13 歳未満のものには0.3mL、1歳から6歳未満のものには0.2mL、
1 歳未満のものには 0.1mL ずつ 2 回注射する。


1.接種間隔
2 回接種を行う場合の接種間隔は、免疫効果を考慮すると 4 週間おくことが望ましい。

 

2.他のワクチン製剤との接種間隔
生ワクチンの接種を受けた者は、通常、27 日以上、また他の不活化ワクチンの接種を受けた者は、通常、6日以上間隔を置いて本剤を接種すること。ただし、医師が必要と認めた場合には、同時に接種することができる(なお、本剤を他のワクチンと混合して接種してはならない)。

 

冠動脈疾患発症予測ツール 【これりすくん】

日本動脈硬化学会がなかなか便利な冠動脈疾患発症予測ツールを提供してくれています。

 

冠動脈疾患発症予測ツール 【これりすくん】 というものです。

 

冠動脈疾患とは、簡単に言うと心筋梗塞狭心症です。 冠動脈疾患発症予測ツールとは、心筋梗塞予測ツールということだと理解していただいてよいと思います。

 

実際使用してみると、リスクがどれくらいか、あと、何もリスクがない人と比べて、自分がどれくらいのリスクになるかを計算してくれます。

 

現状、日本では心筋梗塞の数は統計上減っていません。現状は、です。

 

それは高血圧やコレステロール異常の未治療人数が、まだそれだけたくさんいらっしゃるということを意味しています。

 

仮に、全ての日本人が血圧やコレステロールをしっかり管理したら、心筋梗塞脳梗塞の発症率は激減するのは明らかでしょう。

 

【がん、脳卒中心筋梗塞の時代ではなくなった】の意味は、脳卒中心筋梗塞が予防は十分可能になった、発症を低下させることができるさまざまな薬剤があり、食事療法や運動療法がある、ということです。

 

そういった意味で、【脳卒中心筋梗塞】の発症には、ある程度自分たちの意思が及びます。

 

【がん】はまだなかなかそのレベルにはないですよね。

 

やることをやって、脳卒中心筋梗塞になったら自分はあきらめがつきますが、やることやらないでなったらきっと後悔します。

 

是非こういったツールをつかって、自分のリスクを徹底的に把握してください。

 

わずかでも未来を予測できるのは、とても価値のあることだと思います。

 

脳卒中心筋梗塞を激減させることは十分、実現可能だと思っています。まだまだ余地があります。

 

※これりすくん

http://www.j-athero.org/general/ge_app/general2/index.html

運動してはいけない条件(筋トレ編)

筋力を強化するためには、ウォーキングや自転車のぺダリングといった有酸素運動だけではうまくいきません。

 

繰り返しになりますが、有酸素運動は心肺機能強化、レジスタンストレーニング(筋トレ)が筋力強化です。

 

だいたいのことは有酸素運動の禁止事項と同じですが、レジスタンストレーニングをしてはいけない条件を挙げます。

 

1、コントロール不良の高血圧がある(収縮期/拡張期:180/110以上)

2、糖尿病の場合、糖尿病性網膜症のコントロールがしっかりできていない場合

3、不安定な循環器疾患がある場合(不安定狭心症、重症大動脈弁狭窄症、重度の肺高血圧症、急性大動脈解離、Marfan症候群、コントロールされていない心不全など)

4、整形外科的な疾患で運動制限がある場合

 

一般の方では、3に当てはまる方はほとんどいらっしゃらないと思いますが、気を付けたいことは、循環器の病気があっても。しっかり内服薬等でコントロールできていればレジスタンストレーニングは可能ということです。

 

あと、気を付けながらレジスタンストレーニングをしなければならない場合は、ペースメーカが入っている方です。

特にペースメーカ植え込み後は、ペースメーカのリード線が運動中に損傷してしまうことがありますので、注意が必要です。

 

それを回避するために、ペースメーカ植え込み後の方には上半身の筋トレではなく、下半身中心の筋トレをお願いしています。

(絶対禁止ではありませんが、もし自分なら避けます)

 

コントロールされていない高血圧のまま、筋トレしてる方は相当な数になると思います。その中から運動中、運動後の心事故、突然死が起きている可能性は否定できないと思います。